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【旧古河庭園】日英の名匠が生んだ近代庭園の傑作(東京都北区)

「名勝」とは、日本における文化財の種類の一つ。本連載では国指定名勝の庭園、峡谷、海浜、瀑布などを、臨場感あふれる撮りおろし写真で紹介します。旅に出たような気分で、日本の美しい景勝地の数々をお楽しみください。(ひととき 2021年7月号「名勝アルバム」より)

 武蔵野台地の斜面と低地を生かし、小高い丘に洋館、斜面に洋風庭園、低地に日本庭園を配する旧古河(ふるかわ)庭園。もとは明治の元勲・陸奥宗光(むつむねみつ)の邸宅だったが、次男潤吉が古河家の養子に入り、当家所有となった。現在の姿に整備したのは、古河財閥3代当主・古河虎之助である。

 洋館と洋風庭園の設計者は、明治以降の日本建築界を牽引したジョサイア・コンドル。日本庭園の作庭は、近代日本庭園の先駆者とされる七代目小川治兵衛(じへえ)。伝統的な表現と近代的な技術、和と洋の美意識が調和した大正期の名庭だ。「夏は端正な洋館と青々としたもみじがよく馴染み、〝洋の青もみじ〟ともいえる独特の景観が生まれます。日本庭園に移れば、木々に囲まれながら〝日本の涼〟も感じられることでしょう」と旧古河庭園副サービスセンター長の高須未久(みく)さん。

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 和でもあり、洋でもある。不思議な気分にひたりながら、近代日本の夏を楽しんだ。

写真=佐藤佳穂

◉名勝指定 
2006年(平成18年)1月26日
東京都北区西ヶ原1-27-39 
☎03-3910-0394
[時]9時~17時(入園は16時30分まで)
[休]12月29日~1月1日 
[料金]一般150円、65歳以上70円、小学生以下無料
(洋館は別途入館料) 
戦後、国に所有権が移ったが、地元の要望などを受けて東京都が国から無償で借り受け、1956年(昭和31年)より旧古河庭園として一般公開。
※開園状況は下記ホームページをご確認ください
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index034.html

出典:ひととき2021年7月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。


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