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【白沙村荘庭園】異才の日本画家・橋本関雪が大地に描いた“文人の理想郷”(京都市左京区)

「名勝」とは、日本における文化財の種類の一つ。本連載では国指定名勝の庭園、峡谷、海浜、瀑布などを、臨場感あふれる撮りおろし写真で紹介します。旅に出たような気分で、日本の美しい景勝地の数々をお楽しみください。(ひととき 2020年3月号「名勝アルバム」より)

 大正から昭和期の京都画壇において、「和魂漢才」の日本画家としてひと際異彩を放った橋本関雪(かんせつ)。1914年(大正3年)、彼は居住を兼ねた工房として白沙村荘(はくさそんそう)の造営を始める。1万平方メートルの敷地に画室や茶室、持仏堂などの建造物、さらに池泉回遊式庭園を自ら設計・監督して築き、半生をかけて、“文人の理想郷”を京の大地に描き上げた。

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 関雪は園内の3つの池に映り込む景観を重視した。「日の出から日の入り、月の出から月の入りまで計算し、庭園全体に『時間』の概念を取り入れました。大画室の存古楼(ぞんころう)も、大文字山を借景とする池も、水面の光景を考慮して配置されています」と、橋本関雪記念館副館長の橋本眞次さん。

 1924年に完成した如舫亭(にょほうてい)は、瑞月池(ずいげつち)の畔に佇む茅葺屋根の茶室だ。関雪の世界観が慎ましく表現され、中国の山水画を思わせる。池を挟んだ向かいには、病床の妻・ヨネの平癒を願い造られた茶室、倚翠亭(いすいてい)が建っている。

写真=蛭子 真

◉名勝指定 2003年(平成15年)8月27日
京都市左京区浄土寺石橋町37
☎075-751-0446
(時)10時~17時 
(料金)一般1300円、大学生以上500円、高校生以下無料
白沙村荘に隣接する橋本関雪記念館には美術館が併設されており、1階では関雪の作品、資料、蒐集品などを展示公開。展望テラスも備えた2階では企画展を随時開催し、国内外の現代作家の作品を紹介している。

※新型コロナウイルス感染拡大を受け、2021年2月26日(金)まで10名以上での「説明付き入館」のみ受付(要予約・一般2000円)。お出かけの際には事前にホームページをご確認ください。
http://www.hakusasonso.jp/

出典:ひととき2020年3月号
※この記事の内容は雑誌発売時のもので、現在とは異なる場合があります。詳細はお出かけの際、現地にお確かめください。



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