どこにでもある日常が営まれる、非日常をたずさえた下北半島の街(大湊・JR大湊線)|終着駅に行ってきました#16
文=服部夏生 写真=三原久明
「お兄さんたち、取材の人なのかしら?」
居酒屋のママは、ちょっと首を傾げ、僕の方をまっすぐ見ながら、そう言った。
図星である。だが多分、ママの考えているような、名店紹介とか名物女将に迫る風の「取材」ではない。では、どう説明すればいいのだろう。火の玉ストレートに、僕は思わず口ごもってしまい、ママはにこりと笑って、ごゆっくりどうぞ、と奥へと戻った。
まさに、台無しである。ミハラさんが無言のまま、ぐつぐつ煮える味噌貝焼きの豆腐をつついて、