息遣いが伝わる鉄道と町と、“頑張っている”人たち(阿下喜駅・三岐鉄道北勢線)|終着駅に行ってきました#13
「こんなに積もったの、半世紀以上ぶりなんですってよ」
風呂上りのミネラルウォーターを購入した僕に、レジの女性は、そう声をかけてきた。
「藤原の方では60cmも積もっているんですって」
ここは、三重県にある阿下喜駅。その斜向かいにある温泉に隣接した売店である。
窓越しに見える空は、痛いくらいに青かった。冬の透明な陽光が、雪を溶かして、軒先からぽたぽたと水滴が落ちている。朝一番に訪れた時は、建物へのアプローチも雪に覆われていたが、今は濡れた路面が姿を見せている。山間