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終着駅に行ってきました

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終着駅という響きに、わけもなく惹きつけられる。この先にはもう線路がない、という最果てのロマン。そして一抹の哀愁。そこには、どんな街が広がり、どんな人たちが息づいているのか。憧れで… もっと読む
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2022年7月の記事一覧

どこにもない”郷愁"を持つ町の、やさしい夜(岳南江尾・岳南電車)|終着駅に行ってきました#12

「あー、だから日本はダメなんだよ!!」  店内に大声が響く。声の主は、ついさっきまで地元話に興じていた隣の常連氏である。  何ごとかと、彼の視線の先にあるテレビ画面を見ると、サッカー日本代表のディフェンダーたちが自陣でゆっくり球を回しているところだった。  革命レベルの切迫した声だっただけに、スポーツが根源的に内包する平和さが心にしみた。少し落ち着いて観察すると、開始まもない時間帯で、双方無得点である。焦る局面ではなさそうだ。  攻撃を組み立てるための時間とってんじゃ