赤い電車が連れていく、踏切が鳴る街(吉良吉田・名鉄蒲郡線/西尾線)|終着駅に行ってきました#9
かつては観光地への玄関口として名鉄特急もやってきた吉良吉田。三河線が廃線となった今は、その規模を幾分か小さくしながらも、地元の人たちに愛用されています。そんな終着駅のある、穏やかな街の食堂では、今宵も常連たちが贔屓球団の話で盛り上がります。〔連載:終着駅に行ってきました〕
文=服部夏生 写真=三原久明
「寺もあれば、自然もある。何を見たいか言ってもらわないと紹介しにくいのよ…」
吉良吉田駅前の喫茶店の女将は、幾分かの困惑とひと匙の憤慨が混ざった口調でそう言った。
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