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「ひととき」の特集紹介

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旅の月刊誌「ひととき」の特集の一部をお読みいただけます。
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#ひととき

日本三名山のひとつ、白山の麓で暮らす写真家の木村芳文さんが記録した「白山、手取川のひととせ」

春桜がほころぶ季節、白山の雪解け水は手取川へと注ぎこみます。川が運ぶのは水の恵みにとどまりません。水とともに運びこまれる大量の土砂こそが、扇状地をつくり、豊かな土壌を育みます。一般に扇状地は水に乏しいと考えられていますが、雪解け水で潤う手取川扇状地は豊かな水田地帯。水に浮かぶ小島のように見える集落は「島集落」と呼ばれています。手取川氾濫の被害を減らすため、わずかでも高い土地に家を建てる知恵です 夏清冽な水と飛び交うホタル──手取峡谷の環境の豊かさを象徴する光景です。ニッコウ

11月1日は紅茶の日! “緑茶の国”の和紅茶を楽しむ

今日、11月1日は紅茶の日(*1)♪ 「ひととき」11月号の特集では、鹿児島と熊本の和紅茶をご紹介していますが、日本では全国各地でおいしい和紅茶がつくられています。 そのひとつが静岡県。お茶の生産量日本一である同県は、数多くの個性的な和紅茶を生産する地域でもあります。 国産紅茶発祥の地とされる静岡市の丸子や牧之原など枚挙にいとまがありませんが、静岡茶発祥の地(*2)といわれる足久保でも、和紅茶がつくられているんです。 安倍川の支流・足久保川の流域である足久保。山深く、昼夜

教えて!京都のタイルと建築の話(中村裕太さん×倉方俊輔さん)

[Q1]京都が近代建築の宝庫なのはどうして?倉方 平安京が築かれた794(延暦13)年から、東京に遷都される1869(明治2)年まで、京都は日本の政治・文化の中心地でした。ところが天皇が東京に居を移すと、京都の人口は激減。経済も低迷期を迎えます。しかし、1880年代からの窯業や繊維業をはじめとした近代産業の振興によって、京都は近代都市として再生への道をたどっていくのです。  1890(明治23)年には琵琶湖疏水*が完成し、その5年後には日本初の路面電車が街を走るようになりま

ニッポンの馬の話――対馬へ

馬と聞いたら、どんな動物か、すぐに思い浮かぶことでしょう。でも、そのイメージの多くはきっと競走馬のサラブレッド。だったら、ニッポンの馬って……? 乗用に、運搬に、農耕に、軍事に、また神事や競技、それに食用にも。馬はほんの少し前まで、今よりも、もっともっと人に身近で、暮らしや産業を支える存在でした。けれども近代化が進む中で、ニッポンの馬のいくつかは種が絶え、今も危機的状況にあります。天高く「馬」肥ゆる秋、今の私たちがあるのは彼らのおかげと、ニッポンの馬たちに会いに対馬と今治へ行

千宗室さんと歩く「僕の寺町」

裏千家家元の千宗室さんにとって「寺町」は子どもの頃から馴染み深いエリアで、お忍びで通うお気に入りの店がたくさん。千さんの案内で、魅力ある京の名店を訪ねます。(ひととき2021年1月号特集「上ル下ル、京さんぽ」より一部を抜粋してお届けします)  10年来、本誌の巻頭エッセイを執筆中の千宗室さんは、京都の路地を気の向くままに歩くことが習いとなっている。〝長歩き〟と呼んで、折々に出会うものや人に興味津々。小路の魅力や京都の本質を綴ってきた。なかでも子どもの頃から通い慣れて愛着が深

担当編集者が語る「名古屋を造った建築家」の知られざる魅力(ひととき2020年5月号特集)

ほんのひととき編集部のうさこです(*うさこはペンネームです)。 明日発売されるひととき5月号の特集「名古屋を造った建築家――鈴木禎次の見た夢」の担当編集者・鉄平さんに企画の意図などを、インタビューしました。この特集では建築物についての隠れたドラマも描かれていて、とても興味深かったです。どうしたらこんな企画を思いつくのか、また取材の裏話なども語ってもらいました。 ―― 鈴木禎次という建築家を知ったきっかけを教えてください。また、なぜこのタイミングで特集しようと思ったのでしょう