中原中也の青春時代が、スクリーンで甦る──映画監督・根岸吉太郎さん、かく語りき|[特集]山口、天才詩人の故郷
「幻の脚本」の存在 脚本家・田中陽造さんが、「ゆきてかへらぬ」というシナリオをお書きになったのは、かれこれ40年以上前です。大正時代、当時駆け出しの女優だった実在の人物・長谷川泰子を主人公に、詩人・中原中也、文芸評論家・小林秀雄との三角関係を描いたシナリオで、多くの映画監督たちが映像化したいと名乗りを上げつつ、長年実現できずにいた幻の脚本でした。僕と田中さんは、16年前に「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」を共に制作したというご縁がありました。これほど素晴らしいシナリオを、日の