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「ひととき」の特集紹介

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旅の月刊誌「ひととき」の特集の一部をお読みいただけます。
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2023年9月の記事一覧

【小田垣商店】黒豆一筋、300年の老舗(丹波篠山市)

 丹波篠山市には、老舗の黒豆専門店がある。1734(享保19)年、鋳物師の小田垣六左衛門が金物商として始めた小田垣商店は、丹波の黒豆の歴史に関わってきた。  1868(明治元)年、6代目店主となった小田垣はとが、金物商から種苗商に転業。黒大豆の種を農家に配り、栽培法を教えて、収穫された黒豆を生産者から直接仕入れ、俵に詰めて販売を始めた。1941(昭和16)年には、当時の兵庫県農事試験場によって、黒大豆の優れた品質と特性調査が行われ、「丹波黒」と品種名が定められた。ところが、

【丹波】土を見極め、土から生み出す古窯の里へ

 約800年の歴史を持つ丹波焼は、素朴な土の風合いが生きた焼き物です。丹波篠山市の中心街から南西に20キロ弱、立杭と呼ばれるエリアでは、今も50軒あまりの窯元が、個性と温かみあふれる器を焼いています。 歴史と焼き物の町、丹波篠山へ 仰ぎ見れば多紀連山の濃い緑と青い空。風が田畑を吹き抜け、水路ではシラサギがゆっくりと動きながら獲物を狙う。穏やかな山里の景色が広がる丹波篠山は、古くから京都への交通の要所として栄えた。  戦国期には、織田信長の命を受けた明智光秀の丹波攻めの舞台