マガジンのカバー画像

「ひととき」の特集紹介

92
旅の月刊誌「ひととき」の特集の一部をお読みいただけます。
運営しているクリエイター

2022年12月の記事一覧

新年特別鼎談「京都──動物アートの魅力」@京都国立博物館

神社にいる狛犬は……金子信久 今日は動物の美術のお話を面白くできるといいなあと思って参りました。京都国立博物館は動物アートの宝庫ですよね? 淺湫 毅 例えば当館には獅子と狛犬がたくさん寄託されているんです。獅子と狛犬は私の専門分野である仏像ではないので、赴任前はあまり詳しくなかったのですが、縁起物ということでお正月に獅子と狛犬の特集展示をすることがありました。慌てて勉強しましたが、これが面白くて。 金子 獅子と狛犬は日本人にはおなじみの存在ですよね。 淺湫 ええ。でも、

風船みたいなぷっくり象(養源院・俵屋宗達『白象図』)|京都 動物アートをめぐる旅

「涅槃図には動物たちがたくさん描かれているでしょ。お釈迦様の死を動物たちが泣いて悲しんでいる絵。とくに象は、大きな体をよじるようにして、おいおい泣いている。あれを見るとすごくきゅんとしてしまうんです」  京都に向かう新幹線の中でそんな話をしてくれた金子信久さん。動物を探しながらの京都美術散歩のトップバッターは、洛東にある養源院だった。1594(文禄3)年、豊臣秀吉の側室・淀殿が父・浅井長政の追善のために建立した寺である。 「ここには、俵屋宗達が描いた素晴らしい白象がいるん