マガジンのカバー画像

「ひととき」の特集紹介

92
旅の月刊誌「ひととき」の特集の一部をお読みいただけます。
運営しているクリエイター

2022年6月の記事一覧

世界的にも珍しい「妖精の森ガラス美術館」 緑色の光を放つウランガラスの神秘(岡山県鏡野町)

 緑色の光を放ち、暗闇に浮かび上がる神秘的なガラスがあるのをご存じだろうか? その名を「ウランガラス」という。ガラスは着色剤として金属や鉱物を加えると、コバルトなら青、金なら赤というように、化学反応によってさまざまに発色する。同様にウランを用いると、美しい黄色や緑色のガラスが生まれるのだ。  このウランガラスの最大の特徴は、紫外線を当てると緑色の蛍光がくっきりと現れること。19世紀のヨーロッパで製造が始まったものの、紫外線ライトが一般的になる1900年代中ごろまでは、はっき

倉敷ガラス──民藝との出会いの物語

 ガラスとはもっと親しくなれる。 日本人とガラスは、もう2000年くらいにもなろうかという長い付き合いだ。それほどはるか昔に、人間がおこす火のなかでいくつかの物質が溶けて混じり合い、生まれたのがガラスである。  光を受けてさまざまな色に輝く美しさから、古代では宝石と同じくらい貴重で高価だったガラス。いまは私たちのまわりに当たり前にあり過ぎて、生活を支えてくれていることさえ忘れがちだ。だが辺りを見回してみれば、スマートフォンのディスプレイ、薬品を封じ込めるアンプル、グラスフ