知恵と工夫で和紙の隆盛期を築いた土佐和紙(高知県吾川郡いの町)
高知県いの町で「土佐七色紙」という名の美しい紙が生まれたのは戦国時代末期のこと。桃色、柿色、浅黄色とさまざまに染め上げられた、しなやかで丈夫な紙だ。七色紙をきっかけに土佐では製紙が盛んになり、やがて一大産地となっていく。いの町が「土佐和紙発祥の地」と呼ばれる理由である。七色紙の製法は失われたが、「いの町紙の博物館」では現代の研究により復元、展示している。
「伝統を繋いでいきたい。紙漉きの家に生まれたんですから」
手漉き和紙職人・尾﨑伸安さんが力強く簀桁を振る。この大型の