マガジンのカバー画像

地元にエール これ、いいね!

76
日本全国の“地域の宝”を発掘する連載コーナー「地元にエール これ、いいね!」。地元の人々に長年愛されている食や、伝統的な技術を駆使して作られる美しい工芸品、現地に行かないと体験で…
運営しているクリエイター

2024年4月の記事一覧

知恵と工夫で和紙の隆盛期を築いた土佐和紙(高知県吾川郡いの町)

高知県いの町で「土佐七色紙」という名の美しい紙が生まれたのは戦国時代末期のこと。桃色、柿色、浅黄色とさまざまに染め上げられた、しなやかで丈夫な紙だ。七色紙をきっかけに土佐では製紙が盛んになり、やがて一大産地となっていく。いの町が「土佐和紙発祥の地」と呼ばれる理由である。七色紙の製法は失われたが、「いの町紙の博物館」では現代の研究により復元、展示している。 「伝統を繋いでいきたい。紙漉きの家に生まれたんですから」  手漉き和紙職人・尾﨑伸安さんが力強く簀桁を振る。この大型の