琵琶湖疏水を造った男・田邉朔郎が回想する南禅寺界隈の景色|偉人たちの見た京都
第二橋東雨後泥
村園門巷路東西
遇人休問南禅寺
一帯青松道不迷
とは、頼山陽*の「遊南禅寺」と題する有名な詩である。
私が琵琶湖疏水工事を担任しておって毎日のようにこの辺を通行して見た時の景色は、まさにこの詩の通りで、夷川の橋を東へぬけると南禅寺の方へいまの疏水運河のある場所には人家は一軒もなく、東の方に岡崎村の小村と聖護院の森が見えて、今の公会堂のあたりは市中のごみ捨て場、ごみ焼場であった。
思い出を語るのは田邉朔郎。明治20年代に主任技師として、琵琶湖疏水を造った男