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偉人たちの見た京都

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偉人たちが綴った日記、随筆、紀行を通してかつての京都の姿に思いを馳せ、時代を超えて人々を惹きつける古都の魅力をお伝えします。
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2023年4月の記事一覧

名作『銀の匙』の作家・中勘助と洛北詩仙堂の花の庭|偉人たちの見た京都

中勘助(1885~1965)は、大正から昭和にかけて活躍した小説家・詩人・随筆家です。20代で発表した自伝的小説『銀の匙』が高く評価を受け、一躍世間の注目を集めましたが、居を転々として放浪生活を送るなど、文壇とは一線を画した「孤高の作家」とも評されました。 勘助は1885(明治18)年に東京に生まれ、現在の文京区小日向で育ちます。生まれつき虚弱体質で、頭痛に悩まされることの多い子どもだった彼は、生母が病弱だったこともあり、幼少期は同居していた母方の伯母に育てられます。この