夏目漱石が下鴨・糺(ただす)の森で過ごした淋しく寒い春の夜|偉人たちの見た京都
1907(明治40)年3月28日午後7時半過ぎ。文豪・夏目漱石(1867~1916)は東海道線の列車から京都駅に降り立ちました。時に漱石、40歳。明治25年に帝国大学学生時代に訪れて以来15年ぶり。人生で2度目の京都来訪です。
すでに『吾輩は猫である』や『坊っちゃん』を発表し、人気作家としての地位を確立しつつあった漱石は、この年の2月に一切の教職を辞職。朝日新聞社に入社するまさに直前の京都行きで、しばしの休養と京都にいる旧友を訪ねるための旅でした。
朝の8時に東京駅を発