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偉人たちの見た京都

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偉人たちが綴った日記、随筆、紀行を通してかつての京都の姿に思いを馳せ、時代を超えて人々を惹きつける古都の魅力をお伝えします。
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2022年7月の記事一覧

詩人にして名随筆家・薄田泣菫と鷹峯の光悦寺|偉人たちの見た京都

 明治から大正にかけて、詩壇の寵児として活躍した薄田泣菫(1877~1945)。島崎藤村や土井晩翠によって拓かれた日本の詩の世界を受け継ぎ、それをさらに高めた浪漫派、象徴派詩人の第一人者です。22歳で刊行した第一詩集『暮笛集』で注目を集め、1906年の『白羊宮』で詩人としての地位を確立しました。  その泣菫が随筆・散文の名手だったことは、あまり知られていません。早熟の詩人であった泣菫は、1908(明治41)年に最初の随筆集『落葉』を発表して以来、徐々に詩作から遠ざかっていき