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偉人たちの見た京都

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偉人たちが綴った日記、随筆、紀行を通してかつての京都の姿に思いを馳せ、時代を超えて人々を惹きつける古都の魅力をお伝えします。
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2022年5月の記事一覧

美食家・北大路魯山人が愛した洛北深泥池の蓴菜|偉人たちの見た京都

 北大路魯山人(1883~1959)ほど幅広い分野で卓越した才能を発揮した芸術家は、近現代では他にあまり例を見ないでしょう。そのスケールの大きさは、没後60年以上経った今日、ますます評価が高くなってきています。  魯山人とはどのような人物なのか。あまりに巨大で全貌を簡単にはつかめませんが、彼の残した文章をまとめた『魯山人味道』(中公文庫)ではこのように紹介されています。 「明治十六年、京都上賀茂の社家に生まれる。本名房次郎。独学、独習にて書・篆刻*・絵画を志す。大正期