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おすすめの書籍

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ウェッジから刊行された書籍の中から、ほんのひとときがおすすめする、旅や文化・歴史に関するものをご紹介していきます。
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#古典がすき

平安京以前の京都には何があったのか?

文=古川順弘(文筆家) 喧騒の京都を離れて辿る静謐の古社たち 日本の観光地として長らくナンバーワンの人気を誇ってきた京都だが、近年は観光客の過剰さが話題にのぼることが多い。とくに目を引くのは外国人観光客の多さだ。そして観光客の大幅な増加は、騒音・ゴミ・渋滞・マナー違反などのトラブルを引き起こし、いわゆるオーバーツーリズム(観光公害)という問題を生じさせている。  インバウンドも含め、京都を訪れる観光客はコロナ禍で一時は激減したものの、コロナへの警戒が薄れるにつれて着実に

いま、この時代に『古事記』を読むことの意味

 本居宣長は明和元年(1764)、35歳のときに『古事記』の注釈に着手し、35年間をついやして、寛政十年(1798)六月十三日に、『古事記伝』全44巻を完成させた。宣長69歳のときである。この前人未踏の精確な注釈書は、近世のみならず、現代においても高い評価を得ている。そこではじめに、宣長が『古事記』に興味を持ち、その注釈を決意したきっかけを簡単に述べておきたいと思う。  宝暦七年(1757)、京都遊学を終えた宣長は、松坂(三重県松阪市)に帰り、魚町で町医者を開業していた。そ

混迷の時代を生きる私たちの必読古典!一気に読める現代語訳シリーズ3選

人生につまずいたとき、現代より厳しい時代を生きた先人の姿に勇気づけられることがあります。次の一手に迷ったとき、新しい時代を切り開いた賢人の知恵にヒントが得られることがあります。だからこそいつの世でも通じる普遍的な事柄が求められるのです。 「古典」と聞けば難解で、頁も膨大で読みづらいイメージがあります。読んでみたものの内容がよくわからなかったということもあります。そんな理由で古典の叡智に接する機会を逸している人が多いというのは実にもったいない話です。 ウェッジブックスが刊行