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イスタンブル便り

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25年以上トルコを生活・仕事の拠点としてきたジラルデッリ青木美由紀さんが、専門の美術史を通して、あるいはそれを離れたふとした日常から観察したトルコの魅力を切り取ります。人との関わ… もっと読む
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#一度は行きたいあの場所

トルコから見るシルクロード(1)伊東忠太をめぐって(タシケントとブハラ)|イスタンブル便り

サマルカンドから帰ってきたばかりである。サマルカンドは、中央アジア、ウズベキスタンにあるオアシス都市。シルクロードで栄えたことで有名だ。先月のエジプト同様、日本のさる研究機関から依頼された、研究調査出張だった。 ウズベキスタンは初めてだった。 研究のために行くというのに、誰も知り合いがいない。ゼロである。 出発する数日前、勤務先のイスタンブル工科大学の同僚、ゼイネップから尋ねられた。 「タシケントに行くの? ユクセルに会う?」ゼイネップが言う。 「え? ユクセル先生?

博物館からモスクになった「アヤソフィア」の今|イスタンブル便り

この連載「イスタンブル便り」では、25年以上トルコを生活・仕事の拠点としてきたジラルデッリ青木美由紀さんが、専門の美術史を通して、あるいはそれを離れたふとした日常から観察したトルコの魅力を切り取ります。人との関わりのなかで実際に経験した、心温まる話、はっとする話、ほろりとする話など。今回は、2020年7月に博物館からモスクになったビザンチン時代の大聖堂「アヤソフィア」の今をレポートします。  アヤソフィアのドームの内側頂点には、「アルトゥン・トプ(金の玉)」と呼ばれる半球体