帰ってきたヤニグロ音楽祭と巨匠たちの真剣勝負|イスタンブル便り 特別編
来年もう一度、やれるのだろうか。
去年の夏、コロナ下の幸福な巡り合わせから実現した、世界的巨匠たちの音楽祭。州都の名前を、イタリア人でさえ知らないような地方、レストランもない小さな村。イタリアで最も観光化されていない(というのが唯一最大の特徴の)、モリーゼ州。そこが20世紀を代表するチェリストの一人、アントニオ・ヤニグロ(1918-1989)の父祖の地(そして、パオロ騎士の親戚である)という縁で、マエストロたちの個人的な力添えからはじまった。ジラルデッリ家が18世紀の歴史的