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文学フリマに魅せられて

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自らが「文学」だと信じるものを自由に展示・販売できる「文学フリマ」。さまざまな書き手と読み手がつくりあげる空間は、回を重ねるごとに熱気を帯び、文学作品にかかわる多くの人々を魅了し…
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記事一覧

「本を使って遊ぶ」という楽しさ|文学フリマに魅せられて(第5回)岡田悠さん

──はじめに、『はこんでころぶ』についてお聞かせください。 岡田:車をテーマにしたエッセイを書きました。もともと大学生の頃に免許合宿に参加していたんですが、免許を取得する頃にはすでに運転がトラウマになっていて。運転をすることのないまま、気づけば期限切れで免許を完全に失効していました……。 その後も変わらず車と縁のない生活を続けていましたが、2人目の子供が生まれて、「ちょっと、車欲しいかも」と思い始めたんです。それで、35歳になってゼロから教習所に通って、免許を取って運転す

「普通の日常」にだって、地獄がある|文学フリマに魅せられて(第4回)しりひとみさん

──はじめに、文学フリマに出店するようになった経緯について聞かせてください。 しりひとみ:エッセイストのスイスイさんに誘っていただいたのがきっかけです。普段は2人ともウェブを中心に文章を書いているので、「ウェブで書いたら人生終わる本」を書こうと決めて、参加することになりました。紙の本だからこそ書けること、限定的な人にしか届かないからこそ書けることをコンセプトに作っています。 ──インパクトのあるテーマですよね。では、1作目の『これも地獄と呼ばせてほしい』について教えてくだ

お笑い芸人が集結! 遊び心と情熱の文芸誌『第一芸人文芸部』|文学フリマに魅せられて(第3回)ファビアンさん

──はじめに、「第一芸人文芸部」の結成について教えてください。 ファビアン:去年(2023年)の6月1日に書店員さんに向けたトークイベントがあって、そこで結成されたのが「第一芸人文芸部」です。その頃、ちょうど3人とも本を出版したというのもあって、1人で戦っていくよりも活動しやすいんじゃないか、と又吉さんに声をかけていただきました。 ──はじめて文学フリマに出店されたのは、「第一芸人文芸部」が結成される前だったと伺いました。どのような経緯があったのでしょうか。 ファビアン

“本のまわりの困りごと”を共有するZINE『おてあげ』が目指すもの|文学フリマに魅せられて(第2回)竹田純さん

──はじめに、「困ってる人文編集者の会」はどのようにして生まれたのでしょうか。 竹田さん:もともとは、朝日新聞社の「じんぶん堂」という本の情報サイトで開催された若手編集者の座談会に3人で登壇したことがきっかけです。イベントが終わった後も、読書会やメッセンジャーを通じてそれぞれの仕事について相談をし合う仲だったのですが、ここでのやりとりをスペースで公開してみようと立ち上げたのが「こまへん」でした。 ──そこから『おてあげ』の創刊まで、どのような経緯があったのでしょうか。

文学フリマは初心に戻れる場所|文学フリマに魅せられて(第1回)phaさん

──はじめに、前回の「文学フリマ東京37」(2023年11月11日開催)に向けて作られた『おやすみ短歌』についてお聞かせください。 pha:『おやすみ短歌』は、安眠を誘うような短歌をまとめたアンソロジーです。眠る前に読むのに最適な本は、続きが気になるものではなく、どこから読んでもどこでやめてもいいようなものだと思います。そういう意味で、短歌はちょうどいい気がします。 装丁も安心感のあるものにしたくて、名久井直子さんにお願いしたのですが、すごく良い感じに仕上げていただきまし