マガジンのカバー画像

へうへうとして水を味ふ日記

9
台湾と日本を行ったり来たりしている文筆家・栖来ひかりさんが、日本や台湾のさまざまな「水風景」を紹介する紀行エッセー。海、湖、河川、湧水に温泉から暗渠まで。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

くるまえび博士の〈地球〉~山口県山口市秋穂|へうへうとして水を味ふ日記

クルマエビの交尾についてご存じだろうか。 夜行性のクルマエビは、昼間は砂にもぐっていて、暗くなると砂のお布団から這いでてエサをもとめ遊泳する。そして、異性と出会う。メスのクルマエビは、オスにつかまると、脱皮してオスの腕から一度逃れる。それから、ぷよぷよと身体が柔らかくなったところを再び正面からオスに抱きかかえられ、3分ほど一緒に泳いでいるあいだに交尾は完了する。 そうしてメスは、20時間ほど経つとまた硬い殻をまとう。いっときすると、背のあたりの卵巣が熟してくる。そこで、