どちらも山で前は酒屋で──美祢市別府弁天地|へうへうとして水を味ふ日記
外にでれば読んで字のごとく茹るような暑さ。台北の、綿毛のようにまとわりつく湿気が毛穴を塞いでからだを重くし、歩くことさえ億劫だ。そんなとき、頭のなかに浮かんでくる日本の水風景がある。冷気のカーテンが幾重にも張りめぐらされたあの場所。ああ今すぐワープしたい、もぐりこみたい──別府弁天池へ。
日本名水百選にも選ばれたその水質は、ミネラルを豊富にふくんで透明度は高く、日差しの角度によってコバルトブルーやエメラルドグリーンに輝く。それは青い照明の下、ソーダ水に色とりどりの透明なゼリ