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新MiUra風土記

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この連載では、40年以上、世界各地と日本で20世紀の歴史的事件の場所を歩いてきた写真家の中川道夫さんが、日本近代化の玄関口・三浦半島をめぐります。
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#軍港

ヴェルニーと軍港の横須賀【後編】|新MiUra風土記

地元では「ベース(Base)」の愛称で親しまれている「ヨッコースカッ!」のヨコスカベースとは、米海軍横須賀基地のことだ。三浦半島の西側の動脈が国道134線ならば、基地の正面ゲートのある国道16号線は東側のそれになる。基地の一般公開日である「ヨコスカフレンドシップデー」はここ正面からではなく北の三笠公園内ゲートなどからの入構が多い(通常は入構不可。オープンベースの際は指定された身分証明書[パスポート、写真付きマイナンバーカード]が必要。2022年は10月16日に開催された)。

ヴェルニーと軍港の横須賀【前編】|新MiUra風土記

電車がトンネルの闇を抜けると、左右の窓には港の艦船と谷戸の緑が見え隠れする。きょうはどんなフネが停泊してるのだろう? この瞬きのような光景に惹かれつづけてきた横須賀港。そして今回は写真を手がかりにして歩いてみたい。 「横須賀寫眞」。こう名づけられたエポックは近年、日本写真史に加えられたものだ。(*1)写真術はフランスが発祥の地。長崎の出島にいた外国人医師や写真師が、長崎製鉄所や日本の風景を写して上野彦馬らに伝授した。そして、この一連の黎明期の写真を「長崎寫眞」と呼んでみたい(