山本周五郎、もう一つの横浜山手|新MiUra風土記
白亜の崖の上で過ごした作家がいた。その仕事場からは海水浴場や別荘、料亭、海苔の養殖をする海が見えた。彼は午前中の執筆をおえると着物に下駄姿で崖と坂で連なる尾根道をたどり巷に下りて散歩することが日常だった。
隣の台地に棲家がある遊歩人の僕としてはこの作家の足跡をたどってみたい。
ここ横浜の本牧、根岸はかつての武蔵国久良岐郡、この尾根道は相模国の三浦半島につながる鎌倉文化圏だ。
横浜にはブラフ(絶壁)クリフ(断崖)の名を冠したマンションや店舗が多い。いわゆる横浜山手は同じ