マガジンのカバー画像

新MiUra風土記

27
この連載では、40年以上、世界各地と日本で20世紀の歴史的事件の場所を歩いてきた写真家の中川道夫さんが、日本近代化の玄関口・三浦半島をめぐります。
運営しているクリエイター

2022年10月の記事一覧

ヴェルニーと軍港の横須賀【前編】|新MiUra風土記

電車がトンネルの闇を抜けると、左右の窓には港の艦船と谷戸の緑が見え隠れする。きょうはどんなフネが停泊してるのだろう? この瞬きのような光景に惹かれつづけてきた横須賀港。そして今回は写真を手がかりにして歩いてみたい。 「横須賀寫眞」。こう名づけられたエポックは近年、日本写真史に加えられたものだ。(*1)写真術はフランスが発祥の地。長崎の出島にいた外国人医師や写真師が、長崎製鉄所や日本の風景を写して上野彦馬らに伝授した。そして、この一連の黎明期の写真を「長崎寫眞」と呼んでみたい(