「本、映画、旅…… 20代は仕込みの時期でした」(建築家・中村好文)|わたしの20代
大学時代は学生運動が激しく、2年生の夏休み以降はロックアウトで長期の休講状態になりました。それが僕にとっては有意義な期間になりました。将来は住宅設計をやろうと決めていたので、設計事務所でアルバイトをしながら名作住宅の図面をコツコツ描いたり、日本民藝館*に通って李朝の陶磁器やイギリスの家具を眺めて一日過ごしたり。雑司ヶ谷子母神堂や佃島など、江戸の風情と人の気配の感じられる下町を歩き回ったりしました。
住宅を志したのは、「小屋」や人の暮らしに関心があったからです。ル・コルビ