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tipToe.楽曲解説Vol.1 - Cider Aquarium

概要

・タイトル Cider Aquarium
・ヨミ サイダーアクアリウム
・楽曲番号 ts01
・作詞 本間翔太/瀬名航
・作曲 瀬名航
・編曲 瀬名航
・振付 花咲なつみ/椋本真叶
・制作時期 2年生1学期番外編「Tokyo Sentimental」

コンセプト

tipToe.×・・・・・・・・・のスプリット盤「Tokyo Sentimental」の企画が立ち上がってからTokyo × Sentimentalをテーマに書き下ろした楽曲。楽曲的にも歌詞的にも都会を彷彿とさせる要素を入れるように意識した。tipToe.楽曲群の中でも番外編的な位置付けにある。ゆえに楽曲番号の振り方がいつもと違う。

しかし、本編主人公とは一線を画す少し擦れた人物像が魅力的で、後に「Silent Sign」で再び登場し、事実上の「東京編」を確立することになる。

楽曲

ギターを全面に出さずピアノ主体でキラキラしたダンス曲として作っている。都会的なイメージで洗練された印象。ピアノ主体ということで最初はギターがなかったが物足りなくて最終的に各サビにギターリフと大サビにバッキングギターを入れた。ノスタルジー意識で今時珍しいフェードアウトで終わるようにしている。90年代はフェードアウトで終わる曲が沢山あったのだがいつのまにかほぼ無くなったのに最近気づいていつか敢えてやってみようと思っていた。制作過程での大きな変更はなんといってもラップの導入で、当初ラップが入っている部分は完成形の落ちサビのようなメロが入っていたのだがふと思い立ってメロを全消ししラップを入れることに。

この曲は"・・・・・・・・・"のコンセプト「都市」を借りて制作したスピンオフ的な楽曲であったにも関わらず、その高い人気や応用性から第1期では非常に重要な役割を担っているライブが多かった。フェードアウトで終わる楽曲であるが、ライブ用のオケはフェードアウトとは異なる終わり方にアレンジされていたり、「僕たちは息をする」などの他の楽曲が割り込んでくるカットアウト、特殊なアレンジが付け加えられて他の曲にシームレスに繋がるなど、ライブのピークとなる楽曲へバトンを渡す変幻自在の中継役として活躍してくれた。

歌詞

tipToe.の楽曲の本編主人公はとある地方都市のベッドタウンに住んでいる設定なので、いつもの主人公ではなく、「なんでもあるのになんにもない」東京に住む根拠のない孤独と憂鬱を抱えた女の子が主人公になっている。そんな子に「今の行き場のない気持ちだっていつか笑える日が来る」と言いたかった。作詞は本間と瀬名君の共作。一つ前に制作した「星降る夜、君とダンスを」と逆で本間が先に途中まで書いて残りを瀬名君が書いた。主に前半は本間の書きかけの言葉(サイダーなど)を拾いつつ瀬名君が担当、後半は本間が担当。瀬名君が書いたラップ部分がなかなか良い。

タイトル「Cider Aquarium」は東京はなんでもあるのになんにもない狭い世界で、そこで沢山の人が息をして、それはまるで「サイダーで満たした水槽(水族館)」のように思えるというところから。ちなみに英語で「Cider」は林檎酒になるのだが、これは東京の話なので敢えて「Cider」という日本的誤用をしている。日本人にしか伝わらない英語タイトル。英語なのに日本人にしか伝わらず、それを大半の人は知らないというのはこの曲にぴったりだと思っている。英語版タイトルは「Soda Pop Aquarium」。物語の季節は晩夏。

歌割はラップパートが6ブロックあったので6人に割り振り。2人ずつペアになっていて、そのペアの組み合わせはメンバーそれぞれの声質や歌い方のクセを考慮して組み合わせている。

雑記

都会的で少し大人っぽく作る方向で瀬名君に頼んだら、僕の伝え方が悪くてダークすぎる感じのデモが上がってきて一回完全ボツに。この曲はthirdShoes.楽曲群と同時進行で制作していてスケジュール的に忙しくてギリギリだったのもあり、一度ボツにした後はあまり時間を掛けずに作った作品だったが、この人気ぶりをみると時間を掛ければ必ずしも良いものが作れるとは限らないというのが改めてよくわかる。

この曲のデモをメンバーに共有した時の反響が大きく、メンバーからの人気も1期を通してトップレベル。

振り付けはつみとまなかがやってくれてて、とても素敵で実際評判も良いです。tipToe.ではつみは振り付け3作目、まなかはデビュー作。振り付けについて関係者からの評価も非常に高い。

本間はこの曲の明るくて哀しい感じが好きです。この曲の主人公の寂しさも哀しさもきっと誰も気づかないんだろうなと思う。

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