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tipToe.楽曲解説Vol.12 – アフターグロウ

概要

・タイトル アフターグロウ
・ヨミ アフターグロウ
・楽曲番号 19
・作詞 本間翔太/瀬名航
・作曲 瀬名航
・編曲 瀬名航
・振付 わこ
・制作時期 2年生2学期編「daydream」

コンセプト

tipToe.初の王道バラード。2nd full album「daydream」の中で最後に作った曲。実はこの曲よりも先に「ないしょとーく」「Silent Sign」などリリース可能な段階まで制作が進んでいた曲があったが、アルバムの構成を考えてそれらを入れずにこの曲を新たに作った。

ライブ活動をするアイドルとしてライブで決して盛り上がる訳ではないバラードをやるのはどうなんだろうとtipToe.を始めた頃は考えていたが、夜編(thirdShoes.)でやりたい放題やって許された(と思っている)のでそれ以降はもう抵抗がなく、最早好きに作っている状況になっている。

楽曲

瀬名君から届いた1回目のデモのメロがピンと来なくて全ボツにした後に来た2回目で割と今の原型ができた。今回は早々に最後の詰めの段階まで到達してリテイク8回で終了。リテイク回数も随分と減った。
リテイクと言っても議論になったのは「歌い出し前にイントロをつけるか(やめた)」「BPMをちょっと下げるか(結局当初よりBPM2下げた)」ぐらいで、あとは最後の「しようね。」のところに溜めを入れてもらった程度。

歌割りについて。
曲自体が重厚な王道バラードなので歌もそれに寄せていくと本当に普通のバラードになってしまう。それはそれでよいが、敢えてベタな方向にいかないように素朴さを意識した歌割りに調整。その観点で日野あみの声質が非常に有効で、大事な部分であみの歌割りが多くなっている。サビが掛け合いになっていて、基本的に花咲なつみ・成瀬ゆゆかが前、三原海・日野あみが後の高い方、都塚寧々・椋本真叶が後の低い方(ハモり)で歌割りを3等分している。この分け方はそれぞれの得意な音域や声質で決めており、ライブだとまたちょっと違う歌割になっていた。

生音系の楽曲なのでギター・ベース・ドラムの全てを生バンドでレコーディング。楽器レコーディング時はまだ歌詞がなく、オケとガイドメロのみだったがバンド陣がこの曲を気に入って「いいオケだよね」と言いながらレコーディングしていてそれが印象的だった。

普段ギター類はエンジニア兼ギタリストの平田君がアレンジすることが多いが、今回のギターは瀬名君のアレンジそのままになっている。艶っぽくて非常に良い。なんだか瀬名君のギターがどんどんうまくなっていく。

Aメロ、Bメロ、サビ〜とブロックごとに転調し続ける。瀬名航によると「普通に作ってたら単調で面白くないから工夫した」とのこと。
その結果コードの展開が非常に追いにくいライブ演奏殺しの鬼畜曲と化し、バンドセットライブの時は「一度でも展開を見失ったら死ぬ曲」としてバンドメンバーに恐れられていた。

バンドセットの時の話
本間(ギター担当)「カポをブロックごとに動かせば弾きやすいけどカポなしだと転調辛いよ…」
瀬名航「僕も曲作る時同じようにブロックごとにカポ調整してレコーディングしましたよ!^^」
本間「でもライブだとつけたり外したり大変だよ。。」
瀬名航「僕は宅録ギタリストなので関係ないです、頑張ってください^^」

歌詞

2年生の冬。1年生の頃からずっと一緒だった数少ない「私」の親友が家庭の事情で春になったら東京に出ていくことになった。
いつでも電話はできるし、何時間か新幹線に乗れば会うこともできる。それでもこの町から殆ど出たことがない私にとっては途方もないことのように感じた。
最後の日の帰り道、綺麗に晴れて街は琥珀色に染まる。空気は澄んで風は冷たく、空には飛行機雲が浮かんでいる。
「私」と「君」は自転車を押して家までの帰り道をゆっくりと歩いている。今日が最後というだけでこれまで何度も繰り返してきた帰り道だ。

というのがtipToe.の物語の中の話。

どんなに忘れたくない誰かとの大事な記憶も時間が経てば少しずつ曖昧になって本当にあったのかすらわからなくなる。それはまるで夢と区別がつかない。どうしたってその時の自分の感覚や気持ち、時間そのものは残しておけない。だからせめて、いつかまた会えた時に「あの時こうだったね」とそれぞれの視点の思い出話を半分ずつ持ち寄って話そうねと約束をする。

「君」は一足先に出ていってしまうけれど「私」はまだこの町に残る。この曲は卒業の歌ではなく、親友との別れの歌です。

主人公の友人たちそれぞれ夜の話を描いた「thirdShoes.」の中で「星降る夜、君とダンスを」の主人公だった子が東京に行ってしまうことになる。星降る夜は友人目線からの物語となっている(つまり星降る夜の「君」はメインの主人公を指している)のに対して、アフターグロウはメインの主人公目線での話。星降るの子はアフターグロウでは気丈に見えるがなぜ気丈に見えるかについては「星降る夜、君とダンスを」の解説記事を読んでいただければわかる。東京に行った星降る夜の子のその後については3年生編の「Letter」で書いた。

tipToe.は同期のグループにとても恵まれていて、メンバーも運営も仲良く切磋琢磨していた。2年目の冬、同期のグループたちが一足先に次のステップに進んでいって、勿論また違う形で続いていくけれど、なんとなく寂しくてこの歌詞を書いた。

アフターグロウ(afterglow)という言葉には2つの意味がある。
1つは「夕暮れ」。もう1つは「大切な楽しい思い出」。

雑記

振付はわこ先生。HAMIDASYSTEMの僕の好きな曲の振付を作られた方です。
振りの最後の部分、ふわっとしてて好き。

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