329 詩 夏の犬
夏の犬
夏の犬は、早起きだ。
起きて、起きて、みんな、早く起きて。
夏が終わっちゃうよ。
急いで、急いで、みんな、急いで。
着替えてる暇なんてないよ。
夏の犬は、よく走る。
暑い、暑い、だけど、走る。
夏に追いかけられて。
舌を出し、目をむいて、尾を立てて。
じっとなんてしてられない。
夏の犬は、歌いはじめる。
大きな声、小さな声、夢の中の歌。
夏だけの特別なギミック。
遠くを見て、鼻を濡らして、耳を立てて。
誰に届こうと気にしていない。
夏の犬は、夢を見る。
叱られない場所。
友達がいる場所。
自分が自分らしくいられる場所。
なにもしなくても幸せな場所。
いつか、自分の行きたい場所。
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