第2話 どこかで聞いた事があるような無いような日本昔ばなし
-前回のあらすじ-
「モンキー」の発音が悪い。という理由だけで領主ザルのマンキィにボコボコにされたカニ太郎。全身アザだらけになって微動だにしないカニ太郎は、本当に天に召されてしまったのでしょうか。
・・・ 第2話 ・・・
「いつまでも塞ぎ込んでいても仕方ない! ひとまずカニ太郎を母ちゃんトコに運ぼう。」
カニ次郎(カニ太郎の双子の弟)の提案に居合わせた村人たちは同様に頷き、カニ太郎を自宅へ戻す事にした。
母「え? なに? カニ太郎が死んだ?」
カニ次郎「うん。」
母「。。。。。 んなワケないじゃんカニ。」
カニ次郎「え?」
母「だからさ、カニ太郎がね、サルに殴られた位で死ぬわけないって言ってんのカニ。ゴリラならともかくね。 ウチら甲殻類だカニ? あんたも同じじゃないカニ。あんただって先週、荷馬車にひかれたのにピンピンしてるじゃないカニ。」
カニ次郎「。。。。 確かに。。。」
母「ちょっと待って。語尾のカニ、端折っていい? わりと疲れるからさ。」
カニ次郎「もちろんイイよ。僕も付けてないから。」
母「ありがと。で、何だっけ? あぁカニ太郎の話ね。だからさ、失神してそのまま寝てるだけだよ、きっと。 水かければ起きるから起こしてあげてくれる? お湯はダメよ?分かるでしょ?」
母「あ、それからさ、カニ太郎を殴ったのって領主のマンキィでしょ? 仕返しとか考えちゃダメよ? 実を言うとさ、私が悪いのよ。 マンキィと居酒屋で呑んでる時にちょっとした口論になってね、その時に私の事を「このクラブ嬢が。」って罵ったのよ。カニって英語でクラブでしょ。 クラブ嬢自体はどうでもいいんだけど、彼の発音がヘタっぴだったのよ。【klʌ́b】って言うもんだから、違うよヘタくそ。【krǽb】だよって教えてあげたのよ。それなのに何回も【klʌ́b】【klʌ́b】って言うもんだから私もいい加減キレちゃってマンキィのしっぽを私の巨大バサミでチョッキンしてやったのよ。それを恨んでるの。しっぽ短かったでしょ?もともと短いけど。 ちょっとやり過ぎたのよね。トカゲじゃないんだからもう生えてこないでしょ。 だから私も悪いっちゃ悪いから、今回は私に免じて許してあげて欲しいの。」
村人たちは、カニ母さんとマンキィが吞み仲間である事を誰も知らなかった。母さんがそういうならいいべよ、という事で今回の事件は水に流されるはずだったのだが…
-しばらくして-
カニ太郎「モ~。。。モ~ンキ~さまぁ~。。。」
カニ次郎「おぅ、起きたか。」
カニ太郎「。。。。? ん~?」
カニ次郎「死んだかと思ったよ。」
カニ太郎「あ~。。。。 はいはい~。はいはいはい~。殴られたね~。」
カニ次郎「どこも痛くないか?」
カニ太郎「あ~、そうだねぇ~。。大丈夫だねぇ。」
カニ次郎(やっぱ甲殻類って凄いんだな…)
第2話 おわり。
ーあとがきー
カニ母さんの推測通り、誰もが死んだと思っていたカニ太郎が生きていました。果たしてカニ太郎はマンキィに復讐するのでしょうか? それともカニ母さんの言い付け通りマンキィを許してあげるのでしょうか。
第3話へ続きます。
お読みいただきありがとうございました😊
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