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農泊の魅力はありのままの姿ー恵那中野方(2)

Vol 49  日本農家  棚田

人々の旅行スタイルや働き方の変化に伴い、「農泊」が徐々に注目を集めています。農泊とは「山村・漁村体験型」観光の一種で、観光客が農家や漁師の家に宿泊し、地域資源が提供する食事や独特の自然景観、生活様式を楽しむだけでなく、滞在中に地元の人々と交流することで、都会では味わえないユニークな体験ができます。

リピーターを惹きつける農泊

人口減少・地方過疎化が大きな課題となる中、日本政府は地域活性に大きく影響を与える農泊の推進にさまざまな対策をし予算も投入しています。
さらに国が力を入れる背景として、インバウンド(訪日外国人旅行者)の旅行スタイルの傾向の変化も大きな理由です。
数年前まで観光地の主流はゴールデンルートと呼ばれる東京-大阪間でしたが、年々その傾向は地方都市へと移りつつあります。
これは日本への旅行が2回目3回目となるリピーターが増えるごとにゴールデンルートでは飽き足らず、より日本の文化や生活に触れられる地方へと感心が移り変わる傾向にあるためです。
また地方の日本らしさを体験した旅行者がその魅力を情報発信することで、さらにその魅力を求めて訪日する旅行者が増加している現状があります。
それは、旅行者が農泊に対して求めるものが「農家のありのままの生活に触れる魅力」だということです。

「農泊の推進について」農林水産省農村振興局
前号で紹介した恵那の農家「銀もくせい」の女将が客の朝食を用意している
自家製食材で作られた朝食

どうしても、旅行者を受け入れるとなると「最低でも英語を話せるようにならなければ」「家をリフォームしなければ」と心配になります。
ただ農泊を求める旅行者にとっては、ホテルなどの均一的で流ちょうな英語での接客よりも、むしろ言葉が通じない中で生まれる人間味のあるコミュニケーション。
また綺麗にリフォームされた家よりも、普段のままの生活感がにじみ出た日本の家屋にこそ魅力を感じることが過去の事例、アンケート調査などでもわかっているようです。

「農泊の推進について」

農泊「銀もくせい」のあちこちに飾れる品々からは、鈴村家の暮らしぶりや趣味が伝わってきます。

季節に合った枝や花などの植物で、お手洗いの中や玄関の壁やを飾る

“银もくせい”を始めるきっかけ

「銀もくせい 」のオーナー夫婦は、農泊を始めるきっかけについて語りました。

400年前に先人たちによって築かれた扇状の棚田は、1999年に農林水産省から優良棚田として選ばれました。これらの棚田は、単に農作物を生産する農地だけでなく、美しい田園風景の形成や伝統文化の継承など、さまざまな役割を果たしています。

農村の過疎化と経済衰退の状況を改善するため、行政の担当は、外部の人を呼び込む農業体験活動を開始し、参加者が必要とする宿泊施設を提供することを提案し、この事業を補助金で支援すると促してくれました。

すでに地域振興のリーダー的存在であった鈴村今衛さんは、地元に残る自然の美しさをもっと外部の人に知ってもらいたいと、「自分の家を開いて宿泊客を受け入れるよう」地元の仲間たちと相談しました。

奥さんの八枝子さんもこの提案に賛成し、仲間たちは3年かけて、自発的に外へ視察したり、農泊事業の研修を受けたり、とても有意義で楽しいことだと感じながら、2018年、条件の整った5軒の民宿がオープンしました。

女将が地元の景色の写真カレンダーを利用して作った紹介四季パネル

地元の様々なイベントや観光で訪れる都市部の人々は、農泊を利用して、夜空の星を見上げ、早朝の山里で霧が肌に触れるのを感じ、草花の揺れや鳥やカエルの鳴き声に耳を傾けながら、大自然の中での暮らしを体験することができます。
新鮮な空気と自然の風景は、都会生活での不安や憂鬱を解消し、宿泊客はリフレッシュした気分で都会に戻ります。

鈴村さん夫婦

農泊「銀もくせい」のご主人鈴村今衛さんは農泊を始めたきっかけとその思いを話しました:

たくさんの自然が残っている中野方。この魅力をもっと外の人に知ってもらいたい、それが農泊をはじめたきっかけ。中野方に何度か足を運んでもらい、泊まっていけば、ここの自然はもとより人情 あふれる人の良さもわかってもらえると思う。そして ぜひここに移り住んでほしいんだ。だから私にとっ て農泊は町づくり。

銀もくせい | NPO法人 恵那市坂折棚田保存会 (sakaori-tanada.com)

文/图:欧陽蔚怡
(続き)

本文の中国語バージョン


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