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……の中国を旅する(11) 巧妙な言葉に導かれ、高価な商品を買わされたが

Vol 39  中国旅游

不快な経験も含め、さまざまな予期せぬことを経験した1ヵ月半の旅は、中国の現状に対する理解を深め、人生経験を豊かにしてくれました。なかでも重慶への旅に、高価なものを買わされた体験はどんな風景より私たちに残した印象が深いものでした。

重慶は旅の中で初めて知り合いのいない都市ですが、私は下調べなど何もしませんでした。重慶とその周辺を4日間観光ツアーにオンラインで申し込み、中国国内ツアーの初体験になりました。

旅の詳細は話したいものではなく、少数民族のミャオ族の村への半日コースから得た特別な体験を紹介したいと思います。

蚩尤九黎城(ミョウ族村)

ミャオ族の村に入ると、引率してくれていたガイドは観光客グループを観光エリアにいるミャオ族のガイドに引き継いだ。 ツアーの最後は、売店に案内されました。

買い物を催促される雰囲気は、私たち夫婦にとって見慣れたことでした。私たちには高級な工芸品を収集する趣味さもなければ、実用的でない品物にお金をかけたいという衝動もありません。

クロイスターズ(流れ饗宴の場所)
流れ饗宴
ミョウ族娘たちは歌いながらお客にお酒を飲ませる

他の観光客は商品を興味津々に選んでいる間、我々は先ほど見学際に見せられた加工する前の銀材料を指して冗談を言いました:

ガイドが銀の容器は殺菌・消毒効果があると紹介したね。生野菜をそのまま食べるのが好きな日本人に銀のボウルで野菜や果物を浸漬することは良いかもしれない。彫刻された高価な銀のボウルでなく、 シンプルな銀の容器で価格は高くなければ、実用的で買いたいものですね。

そのとき、暇そうなツア引率ーガイドがやってきて、"お気に入ったものがありました?"と言葉をかけてくれました。

私たちは冗談めかして先ほどの言葉を繰り返しました。ガイドは私たちの生活の質の重視する考えを褒めながら、店員に商品棚の中から11,000元(およそ20万円)もする銀のボウルを取り出すよう合図しました。
数人のミャオ族の女性店員たちが、その魅力とコストパフォーマンスを情熱的に話してくれました。

同じタイプの銀ボール

彼らの熱意を払いのけるのを配慮して、私たちはその高価なものは必要ないと丁寧に断りました。 ガイドは、私たち夫婦がツアーグループの中で唯一の 「外国人客」であることをよく知っていて、買い物が愛国心に関連する話で我々にプレッシャーをかけました。

「海外にいる中国人の多くは祖国を愛する心を持ち、中国の文化を大事にしている。この銀ボウルは故郷に対するの思いになりますし、外国人の友人に中国の精巧なハンドメイドを見せられる」。

「次は貴州省へ行くので、そこでもミャオ族の村を訪れる予定だ。そこでもう一度比較して、買うべきかどうか考えたい。」
私の話を聞い悲しそうな顔で「あなたが重慶に来たのに、他の街で同じものを買いたいと言うのは、私たち重慶人を悲しませますよ」と彼女は言いました。

「大きな買い物をする予定はないので、WeChatで旅行代金しかありません。外国人という身分上、銀行の人民元は使えません」と私は言いました。

ガイドは、外国人が中国でお金を使えないことは理解していたものの、私たちを買い物をさせたいので、「まず私のクレジットカードで支払いますから、日本に帰ってからあなたの口座から私にお金を振り込りこめばいい」と提案しました。

彼女のこの行動に私は驚きました! どうして知らない客のために大金を立て替えるのでしょうか?
私は即座に、彼女に迷惑はかけられないと言いました。
しかし、彼女は海外華人に絶大な信頼を寄せ、「以前このような経験があった。そのお客さんは家に帰ったらすぐにお金を返してくれたわ」と話しました。

私はガイドの信頼に応える言葉が見つからず、「この大きなものはスーツケースには入りません。 そんな貴重品を持ち運ぶわけにはいきません」と断り続けました。

ガイドはさらに機転を利かせて、ツアーに関する難儀に対応策を見せてくれました。
「どこから日本に帰るんですか? 最後のホテルまで荷物を送りますから、それを飛行機に持ち込みだけです。 まったく手間はかかりません」。
「国内宅配便 」の利便性と、比較的高い信頼性から、この提案は完璧でした。

このあたりの店員たちも、私たちを「助ける」ために知恵と熱意を尽くしてくれました。

最初は冗談のつもりでしたが、ガイドと店員にお断りの言い訳を何回か繰り返しているうちに、隙のない購入・配送シナリオになってしまいました。その過程で、私たち夫婦は徐々に彼らの言うことに動揺されました。

巨大山洞

これまで旅行した都市の町はかなり不景気な様子でした。ガイドが「政府が精力的に観光を支援する政策を取り入れ、観光を通じて地域経済を引っ張りたい」とのことを走っているバスの中で話していました......。

銀のボウルの購入は、私たちの普段の支出習慣とは違いますが、地域の経済を支援するために観光地でお金を使うことは、この初めての気楽な旅行の記念品として、贅沢品を購入することも悪くないと考えるようになりました。

愛国心に駆られた私たちは購入することにしましたが、お金のトラブルを残したくないので、上海の親戚の家に銀のボウルを送り、親戚に私たちのかわりにガイドにお金を返すことをお願いしました。

店員はさっそく彫刻機で銀のボウルの底の外側に私たちの名前を彫り、オリジナル品という優越感を演出しました。 商品は宅配便に渡され、2日後に配達されることになっていました。商品を受け取った後、親族が代金をガイドに振り込むことで合意しました。

上海の親戚の若者は、私たちが観光地で買い物をすると聞くと、すぐに「ダメだ! ダメだよ! 景勝地のものは外よりずっと高いんだから」。 私たちの購入を決めた理由を聞いた後、彼女はWeChatで「あなたは慈善家ではない」、「銀食器には殺菌効果がない」と賛同しない意見を送ってきました。

また、数日前の国慶節の休み期間中、病院の同僚と一緒に旅行していたなか、何人かの医師がだまされた事例をあげ、「ツアーガイドを信じてはいけない、彼女は商品の50%以上の金額を取るだろう」。
親戚の意見を聞いて、私は間違いを犯したのではないかと思い始めました。

重慶の長江河畔の夜景

深夜、銀食器に関する知識をインターネットで検索してみました。
絶対的な答えは見つかりませんでしたが、ミャオ族のガイドが説明した銀器のパワーは明らかに科学的ではなく、真実ではないと感じました。

「不純な銀食器には重金属が含まれている可能性がある」、「国産の銀食器は純銀である可能性が低い」......これらの情報に私は不安になりました。 「銀の食器を長期間使用すると、重金属中毒になる可能性がある」との文章に鳥肌が立ちました。
どうして買うと決める前にネットで調べなかったのかと後悔しました。

翌朝早く、私はWeChatでガイドに返品したいメッセージを送り、同時に売店のカスタマーサービスに返品手続きについて問い合わせました。 相手は返品できないとは言わなかったものの、返品手続きに入る返事がなかなか来ませんでした。

この日はツアー最終日でもあり、重慶市内観光を終えて午後には解散となりました。ガイドの不安は急上昇しました。
彼女は、「上海の親戚に頼んで、私にお金を返してほしい。あとはあなたたちが直接販売先と交渉して解決して」と私に頼みました。

それに対して、上海の親戚は、「毅然とした態度でガイドを断り、商品を絶対に返品す」と教えてくれました。

ツアーが終了したとき、他の客は全員帰り、バスも走り去ったので、ガイドと私たち夫婦は道端に立っていました。

「上海の親戚が宅急便で届いた品物の受け取りを拒否し、あなたに買い物代金を支払わないという意思表示をしている」と彼女に伝え、「 私たちはどんなに時間がかかっても逃げず、この問題が解決するまで重慶を離れないつもりだ」と言葉を付け加えました。

ガイドは「善意でやったことがトラブルに巻き込まれた」と泣きだしました。
私は彼女の人生経験の浅さに少し同情しましたが、この教訓を学ぶべきだと彼女に念を押しました。
「今回のアクシデントは、あなたが商品にお金を払うと言い張ったからできたことであり、その結果に対する責任はあなたにもあります。 私たちも自分たちの軽率な行動の代償として、次の観光予定をキャンセルしただけでなく、500元以上の契約違反金を負担するのよ」。

ガイドは携帯電話で売店と連絡を取り合っていました。売店は上海に届いている商品を次の配送を止める措置をしたそうで、ガイドに代金を返すと約束しました。

その後、同店から私たちに違約金の支払い請求はなく、茶番劇は幕を閉じました。

その後、私たちの経過説明を聞いた上海の親戚は、「あなたたちは本当にすごいと思うわ 」と言ってくれました。

実は、重要なポイントは、当時私たちがお金を持っていなかったことでした。 私たちは自分の判断力が高いと信じ、よく詐欺に巻き込まれたお年寄りを嘲笑していましたが、まさか若いツアーガイドに振り回されたとは。

まだまだ年寄りになっていないと思っていた私たちはこのようなことを遭遇し、どうしてかなと自信が減りました。

本文の中国語バージョン



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