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0から配信DJイベントの運営を一年続けてみた話

はじめましての人ははじめまして、そうでない人にはご無沙汰しております。本郷みもみです。

今回は自分が配信DJイベントの運営を続けて1年が過ぎたのでその周りの話です。あと自分が入ってからの不眠鯖のことも含めて備忘録的に書いていこうと思います。

1.そもそもどんなイベント?どんな場所?

自分が運営してる配信DJイベントは「創奏音楽祭」というDiscordのSleepless_ server(以下不眠鯖と記載)にて開かれているオールジャンルDJイベントです。

Discordのボイスチャット機能を活用し、Go Liveという画面共有機能を主に用いて映像と音声をDJ・VJから送信することで配信イベントを実現させています。
イベント会場となっている不眠鯖は参加者が1000人近くおり、常設されているDJ練習会場でほぼ毎日練習配信が行われている他、おすすめの音楽を布教する場所などがあり活発に活動が行われています。
イベントの大きな特徴として、完全無料・参加自由のサーバーで行われるこの創奏音楽祭はジャンル指定等が一切なく、DJは各々好きな音楽を流すので様々な音楽に触れることができます。

Rythm Botという音楽再生Botを用いた「不眠音楽祭」という音楽鑑賞会とそこからDJ部門の独立を目指した「しゃべくりYM」、そしてそれらを支えて来たサーバー内のDJ練習会場に端を発する創奏音楽祭では、「できる限り多くの人に発表の機会を」ということで参加希望を出した人が全員出演します。
そのため参加者は非常に多く、前回(第4回)ではDJが52人・VJが4人参加したほか、DJが個別にVJを連れてきた場合やイベント後の二次会等もあり合計で60人以上が出演しました。

加えてサーバー内にDJ練習会場がある上、希望者が全員出演できるため毎回創奏音楽祭がイベント初出演となるDJが多いのも特徴です。
前身である不眠音楽祭やしゃべくりYMも合計するとこれまでの1年あまりで32人ものDJがイベント初出演を果たし、うち14人がクラブ等の現場DJデビューを果たしています。(人数は当方調べ)

また人数が多いため2フロア×2日間の開催としていますが、2フロアを合わせた同時視聴者数は100人を超えます。Go Liveでは仕様上1つの配信に50人までしか視聴できないため運営スタッフによるミラー配信も積極的に行われるなど非常に熱量の高いイベントとなっています。

2.どうしてイベント運営を始めた?

自分が不眠鯖に入った2020年3月頃はまだ参加人数が40人弱と少なく、サーバー設立者のすてぃ~によって「不眠音楽祭」が毎月開かれていました。

不眠音楽祭は参加者がYouTubeやSoundcloudなどから各々で4~5曲ずつ持ち寄ってリストを組み、先述の通りBotを用いて鑑賞し合うというイベントです。

似たようなシステムで神椿サーバーと呼ばれる神椿スタジオ所属のVsingerとARTISTのファンサーバーにて開かれていた「V音楽鑑賞会」から「V以外の音楽も聞きたい」ということで独立して開かれたイベントであったため、当初より様々なジャンルの音楽が流れていました。
(2022/10/10追記:V音楽鑑賞会については以下2つの記事に詳細があります。)

自分がサーバーに入った頃はDJをする人はいなかったのですが、昨年4月頭に初期からのサーバー参加者がDJ機材を買ったため練習してみたいということでテスト配信をしていたところTwitterでそれが拡散され、3日間で参加者が約4倍になりました。(いわゆる"インターネット交通事故")

そこで当初から昨年4月に定例で開かれる予定だった不眠音楽祭に急遽DJ部門が併設されることとなりました。従来の音楽鑑賞部門(以下DJとの区別のためリストプレイと記載)の運営をすてぃ~が引き続き行うのに加えて、件の事故のきっかけとなった大崎と当時は全くDJ経験がなかったがコメント欄でエンジョイしてたら何故か運営に引き込まれた自分の二人でDJ部門の運営を行うことになりました。

そうして行われた第5回不眠音楽祭。タイムテーブルを組むのも配信管理を行うのも初めてで、今思い返すと色々とグダグダだったと感じます。
また演者側もDiscordで配信をするという不慣れな環境だったりイベント出演が初の人が多くいたりと今よりも配信環境作りに苦心していて「なんとかやりきった」というのが本音でした。

3.イベントの分化と発展

第5回の不眠音楽祭が行われたあと、次の第6回不眠音楽祭に向けてサーバー管理者であったすてぃ~やその他複数人と話し合いを行いました。
その結果従来の不眠音楽祭に対してDJイベントのコンセプトがずれていること等を鑑みて、不眠鯖管理人の一人であったあんどるが主催でDJの方を分離することが決まり、まずはクローズドな場で「しゃべくりYM」としてテストイベントを行うこととなりました。

当初の第0回しゃべくりYMは諸般の事情につき不眠鯖からさらにリンクを踏んだ先にある、よりクローズドな別鯖で行いました。なおしゃべくりYMは後に不眠鯖に会場を戻した上で名前を「創奏音楽祭」に改めた上で現在まで続いています。

またこのとき行われた第0回しゃべくりYMが初心者向けのクローズドイベントであったために、従来の全員参加の体をとるDJイベントを第6回不眠音楽祭に併設しました。
このときが不眠音楽祭にてリストプレイとDJが共存した最後のイベントでしたが、リストプレイで28人・DJで36人と両方合わせて64人が配信側として参加したため2週に分けた上でイベントを行いました。

その後イベントとサーバーの運営体制が変更したことにより、2020年8月から不眠鯖にて本格的に創奏音楽祭が始動しました。
第1回では1フロア制の試験も兼ねて2週に分けて4日間で行いました。また初回ということでフライヤーを外注しイラストを水井軒間さん、デザインをさかいさんに依頼して制作しました。

第1回の終了以降は概ね3ヶ月おきに第2回を2020/11/20-22、第3回を2021/2/19-20、第4回を2021/5/28-29と創奏音楽祭を継続させてきました。
第2回では参加者の増加に伴って2フロア制を復活の上、3連休に合わせて3日間連続開催を行いました。また第3回では2フロア制のままでしたが2日間しか日程が確保できなかったこともあり、DJ一人あたりのプレイ時間を従来の45分から40分に短縮しました。

そして直近の開催となった第4回は当記事の先頭にある通りとなりましたが、演者・視聴者ともに早朝帯は厳しいとの声を受けて運営の負荷軽減も兼ねてDJのプレイ時間を30分に再短縮しました。
その結果、イベント運営時間が最もコンパクトとなったこともあって配信側・視聴側とも過去最大の盛り上がりを記録しました。

なおリストプレイを行う不眠音楽祭の方も分化後に第7回を2020/10/9-10、第8回を2021/3/26-27と鯖運営陣が主導して約半年おきに2回行いました。

こちらの方はDJイベントではなく、先述の通り音楽Botを用いて流すイベントのためDJではない人も含めて多くの人に配信参加してもらいました。
また中々不眠鯖のDJでは流れることの少ないポエトリーリーディングやクラシック、民族音楽や音MAD等までジャンルに囚われない多彩な音楽を楽しむことができました。

4.イベント運営をやってわかったこと・心がけていること

この項では箇条書きでいろいろと自分が運営を通じて感じたことを記載していきます。

・イベント運営は参加人数に応じて運営を増やさないと厳しい

不眠鯖で行われるDJイベントは最初から2フロア同時進行であったため、3人のサーバ管理人で分担して運営を行っていました。しかしながら新規参加者にサーバーの案内をしたり、Twitterでの進行告知をしたり、フロア自身の配信状況を確認したり、出番前のDJの配信チェックなどを行っていると3人でイベントを行うのはあまりにも無謀でした。
特に不眠鯖の場合は配信ツールがDiscordであるため特殊な設定が必要な場合が多く、配信チェックとそれに応じたトラブルシューティングに多くの人員を割く必要がありました。

そこでまず第6回不眠音楽祭からサーバー管理人を増やしました。3人であった管理人を6人に倍増させてサーバー全体の運営負担を分散させました。
第6回不眠音楽祭後にサーバー設立者であるすてぃ~が一時的に管理人を降りたことにより管理人が5人となりますが、第2回創奏音楽祭の前に2人増員してサーバー管理人は7人になりました。

しかしながら情勢の回復によって外出が増え、管理人がイベント時間中に参加できない場合があることや、参加者が増え続けた事によるイベント中の過剰負荷を減らすためにイベント専門の運営スタッフを増やすことにしました。
第3回創奏音楽祭の準備より創奏スタッフとしてすてぃ~を含む5人が参加、第4回創奏音楽祭後に創奏スタッフにさらに2人参加(なおスタッフ1人が多忙により脱退)し、現在は管理人7人とスタッフ6人の13人体制で運営を行うことになりました。

イベント専門で入ってもらうスタッフが増えたことで配信チェックがよりスムーズになり、また同時視聴枠の進行も簡単に行えるようになりました。

・タイムテーブル組みでイベントの流れが大きく変わる

従来の一般的なDJイベントではオーガナイザー(主催)が直接DJをブッキングするのか、あるいは公募でDJを募るのかの違いはあったとしても何らかのテーマがあって出演者を決めることが多かったように感じます。

しかしながら不眠鯖のDJイベントの場合参加希望者を全員出演させるため、DJごとの選曲やジャンルは多岐に渡ります。
加えて複数フロアで行われるイベントなのでフロアごとに視聴者のばらつきを抑えること、イベントが長時間になるため出演可能時間の指定があるDJに配慮をすることも必要であるため、どのようにタイムテーブルを組むか非常に悩みます。

自分の場合だと最初は何もわからない状況でしたが、段々とイベントを重ねるごとにフロアごとのまとまりであったり、番手によるスタイルの違いだったり、複数回出演してるDJであればその人の得意ジャンルであったりといろいろなことを知ることでより良いタイムテーブルが組めるようになってきたのではないかと感じています。
例えばハードサウンドやボーカロイドなど共通するジャンルをプレイするDJ数人が連続するように同フロアに固めたり、逆にスタッフからの提案を受けて似たようなジャンルのDJを2フロアに交互に配置することでフロアを撹拌させることを狙ったりと毎回思考を凝らしています。

また不眠鯖のDJイベントではインターネット上であるため現実のクラブと異なり上がり時間の制約がないことより、慣例として各日各フロアのトリを務めるDJの終了時間を決めていません。そのためトリになったDJの中には一人で2~4時間ほど回すDJもおり、誰をそのイベントのトリにするかも重要な要素となっています。

・イベント同士の交流があるとより活気が出る

不眠音楽祭・しゃべくりYM・創奏音楽祭のいずれにおいても特殊なイベントであるため外部のイベントとの正規のコラボは今までに行ったことはありません。しかしながら様々なコネクションによって外部イベントとの間接的な交流が行われていました。

まず不眠鯖のDJイベントはDJ練習会場からもルーツを持つため実験的・先進的な取り組みを行うDJが当初から多くいました。そしてその中に配信技術班を引き連れてイベント単位で参加してくる人もいました。

例えば「VIRTUALIZE REALIZE」という仮想世界と現実世界を繋ぐDJイベント兼映像技術者集団からは第6回不眠音楽祭のFAIOさんのターンにて完全オンラインによる前面+後面同時VJの初公開を、第1回創奏音楽祭のmaguroさんのターンにて仮想ステージにおける6面VJ+爆破+花火の試験運用などをそれぞれ行っており、Discordというクローズドな場であることを生かして配信技術のローンチを行っていました。

また不眠鯖のDJイベントからは既出の通り数多くのDJが誕生し、また不眠鯖以外にもDJ活動の場を広げています。
その中で不眠鯖出身のDJが外部のイベントをジャックするような事例も生まれてきました。

例えば「VRC電音研」というVRChat内にて毎週開かれているDJイベントではテンプレート等に基づいて演者自身が出演登録や告知を行うのですが、第1回創奏音楽祭がDJ初出演だったまわるさんが自分の誕生日を祝すために21年3月に不眠鯖出身DJによるイベントジャックが行われました。

これらの例に限らず様々なイベント間で演者・視聴者の交流が行われており、それらが合わさることで新たな化学反応が発生することが多くありました。

・運営側からガイドラインを提示しておくと配信準備がとてもスムーズに進む

不眠鯖で行われるDJイベントの場合、初回の第5回不眠音楽祭の時点では運営側・演者側ともに配信初心者が多くいたため配信形態も多種多様で、原則的には演者自身によって配信環境を整えてもらう形態をとっていました。
主な形態としてOBS等の配信ソフトを介して画面共有機能から配信・DJ機材からライン入力・スマホ等でスピーカーの音を直配信の3つがありました。

その後音質や画質の面からOBSを用いた画面共有による配信に大半の人が移行しました。
しかしながらOBSを用いた配信は必要な設定項目が多く、演者本人が配信技術者であれば配信エラーが生じても対処できる能力を有しているので問題ないですが、そうでないときは管理者が対処する必要がありました。またそのうち多くの場合で最初から配信環境を構築し直す必要があったためサーバー管理人に大きな負担がかかっていました。

そこで管理人内でも配信技術者としての実績を既に有していた皐月渚が中心となって配信ガイドライン記事を公開しました。

この記事はOBSを用いた配信について全般的な解説をしつつ、不眠鯖のDJイベントで必要不可欠な「Discordでの配信設定」に重きをおいています。
誰でも見れる形での文章としたことにより不眠鯖外の人でもこの記事を読むことでOBSに関する基本的な設定が一人でできるようにした他、不眠鯖内で配信トラブルが起こったときは演者側・管理者側の双方でこの記事を確認しつつ対応を進めることでより早く確実な復旧が行えるようになりました。

また第2回創奏音楽祭から配信環境等により生配信が難しいDJの救済とインターネット上におけるVJの発表機会の確保を兼ねてDJmixと配信VJの募集も開始したのですが、こちらに関しては後述の演者連絡チャンネルとは別に専用のチャンネルを作った上でスケジュールやmix提出方法についてのガイドラインを整備して運用しています。

また補足になりますが、イベント側でガイドラインを用意するという点に関しては先述のVRC電音研のほうが更に踏み込んだ形態をとっていますのでそちらのnoteも是非ご確認ください。

・事務連絡と告知は少しやりすぎるぐらいが丁度いい

不眠鯖のDJイベントは演者が非常に多いため、初期の頃は管理人からの細かい事務連絡が行き届かないことがありました。また演者側の確認漏れによって出演日を間違えていたり、出演時間を間違えていることもしばしばありました。

そこで回を重ねる度に事務連絡の回数・内容ともに充実させていくことで対処することとしました。
不眠鯖のDJイベントは演者と管理人のみが閲覧・書き込みできるサーバー内の専用チャンネルを用いて事務連絡を行うのですが、その文章をイベントごとに見直すこと、今までタイムテーブルのすり合わせと直前のみだった全体連絡の回数を増やすこと、Discordにはデフォルトの既読機能がないためリアクションを事務連絡に押してもらい誰が読んだかを明確にすること、そして応答がない人には運営同士で確認を行った上で早めに個別連絡を行うことなど様々な対策を講じてきました。

その結果、直前に行われた第4回創奏音楽祭では演者の遅刻は0となり、配信環境のトラブルは生じてしまったものの全体的な遅延は少なく、スムーズな運営を行うことができました。

また告知においても初期は各個人から散発的に行う形をとっていましたが20年4月の段階でTwitterの方にサーバー公式アカウントを開設した他、イベント等の告知に関しては自分でも積極的にRT・引用RTを行うようにしました。加えてせっかく場を用意するのであればなるべく多くの人に見てもらいたい、楽しんでもらいたいとは思っているのですが、毎回イベント終了後に気づく人が数人出てしまうのでイベント直前には特に積極的に告知を行うようにしました。

またイベント中も演者の都合による配信順序の変更やフロア全体の遅れが生じる可能性があるため、管理人側でシフトを組んで演者が交代するごとにDiscordサーバー内とTwitterの両方で告知を行うようにした他、同時視聴枠を設置している場合はその告知も欠かさず行うようにしました。

5.まとめとこれからのこと

以上色々とここ1年以上DJイベントを運営してきて感じたことやそこで起こった事象などについて、いろいろと書き連ねてみました。

自分が不眠鯖やその周囲に関わり始めてからおおよそ一年半ほどになりますが、様々なイベントや特異点が起こっては消えていきました。
その中でイベント運営側の視点からの文章として残ってるものが殆どない用に感じたので今回この記事を書くこととしましたがいかがだったでしょうか。
自分の身の回りに起こった話は特殊なものも多いため一般的な事象には当てはまらない内容も多いかもしれません。何かありましたらお気軽に筆者までご連絡ください。

自分は不眠鯖と不眠音楽祭・創奏音楽祭を通じていろいろなことを学ぶ機会を得られた他、必然的に多くの人と接することとなり多方面へと人脈を広げることができました。
また多くの人の支えにより自分はイベント運営を1年間続けることができました。今のようなイベント運営は一人では決してなし得なかったことだと感じております。本当にありがとうございました。

また第5回創奏音楽祭の方も既存のスケジュール通りに開催する予定で、現在運営打ち合わせが進行しています。
もしよろしければ公式Twitterをフォローしていただくか、Discordの不眠鯖(イベント会場)に入っていただくことでイベント告知を受け取ることができます。

最後になりますが筆者のTwitterと、去年末にDJ関連以外のことも総まとめしたnoteを書いたので下に貼っておきます。
ここまで長文を読んでいただきありがとうございました。本郷みもみでした。

筆者Twitter(Hongo_mimomi)


PS.カバー写真は第3回創奏音楽祭のPV(制作:Yukinoshitaさん)からお借りしました。

更新履歴
2021/6/12 初稿公開


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