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アフターコロナの中国で成長する【バーチャル展示会‐バーチャル旅行】




はじめに
①【デジタル展示会】とは?
②【魅せるビジネス】の大変化
③旅行産業の大転換
④【バーチャル旅行】の実態
⑤【旅行先を届ける】というアイデア】終わりに



はじめに
先日お受けしたインタビューで中国の新規ビジネスを語らせていただきました。今回は編集版をお送りいたします。
お話しする内容は、新しい事業の形態として中国で広がりつつある「バーチャル展示会」「バーチャル旅行」についてです。アフターコロナ後の中国イノベーションの進化としての新デジタル化の一つといえるでしょう。

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  (9億人以上が外出を控えた、中国)

①【デジタル展示会】とは?

中国では日本よりも一般の人たちになじみが深い展示会。かつて貧しかった時代には多種多様な製品を安く買う機会であり、今では週末の娯楽にもなっています。例えば、結婚式展示会やグルメ展示会、アニメ展示会などなど、様々な展示会があり、北京や上海、広州、深圳のどの都市でも毎月必ず10万人規模の展示会が開催されていました。

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     (参加者20万人、参加国数195か国を超える広州交易会)

ところが、今回のコロナショックによって、中国政府はすぐに展示会活動を制限します。さて、どうなったか?

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(著者近影)

日系企業向け人材・ビジネスコンサルティングを行う「FIND ASIA」華南地区責任者で、スタートアップ支援の「Startup Salad(スタートアップ・サラダ)」の日本市場オーガナイザーも務めている加藤勇樹さんによると、コロナの感染を防ぎつつ、なおかつビジネス活動を続けるためにすごい勢いでバーチャル展示会への転換がはかられているそうです。

加藤さんによると、もともとデジタル展示会という概念自体は2年前からあったそうですが、その時はあくまで実際の展示会をオンライン中継するという実況コンテンツのひとつに過ぎなかったとか。ところが、今回のコロナショックを機に一気に変容を遂げます。


②【魅せるビジネス】の大変化

バーチャル展示会では、参加者が会場内をVR技術によって実際に歩いたような感覚を味わえ、商品ブースの商品を詳しく眺めることができたり、あるいは展示ブース内の企業担当者と会話することができたりするのだそうです。さらに時間ごとにオンライン中継によって製品説明を企業担当者が行い、中継中も相互にコミュニケーションをとることも可能です。参考までにURLをご提供します。
http://www.omaten.com/?bd_vid=9840233872103736585

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(以前から導入されていたVR技術を用いた、オンラインショッピング)

圧倒的なスピード感を持って進化しているこのバーチャル展示会には中国政府も力を入れており、210ヶ国から20万人近くのバイヤーが来場する広州交易会の6月オンライン開催に先立っては、李克強首相が「インターネットの効果を最大限に発揮し、広州交易会をより高いレベルにし、より効果的に運営するように」と指示したそうです。

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(6月に開催予定の完全オンライン化された広州交易会)


展示企業担当者によれば【今までは目の前にいる来訪者にいかにPRすればよいか考えればよいだけだった】【今はネット中継について講座で勉強したり、ネットアイドルから話し方講座を受講している】と改めて、展示方法についても進化が期待されています。。

③旅行産業の大転換


コロナショックによって、中国ではバーチャル展示会以外に「バーチャル旅行」という事業形態も出てきました。

コロナの影響で大打撃を受けた業界の1つが旅行です。なにせ移動ができませんので、世界中の旅行会社や旅行に関わるあらゆる業界がことごとく大打撃を受けています。それはいち早くコロナが収束した中国でも同じこと。特に中国では近年旅行産業が大成長していく中で、大打撃となりました。
  

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(《中华人民共和国2019年国民经济和社会发展统计公报》の情報から作成)

上記のように順調な成長を遂げてきた旅行産業ですが、2020年の段階では厳しい局面を迎えていています。

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(【中国旅遊研究院】【中国文化部及び旅游部】から作成)

そこで出てきたのがバーチャル旅行という事業形態だそうです。実際に旅行に行くのではなく、パソコンのモニターなどを通して旅行の気分を楽しむというものですが、前述の加藤さん曰く、現在は2系統あるそうです。


④【バーチャル旅行】の実態

1つは「VR型」と呼ばれるもので、VRを活用して、観光地を実際に見て歩けるような疑似体験ができるサービスです。例えば、北京の故宮博物館が提供している全景故宮計画では、博物館内を音声ガイド付きで鮮明な画像で紹介しているそうです。

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(故宮をVRで歩いて回れる「全景故宮」のサービスhttps://pano.dpm.org.cn/gugong_app_pc/index.html)


このVR技術は、もともと建設現場や医療現場で提供されていたものであり、いわば異業種からの参入ともいえます。一方で中国各地の博物館や観光地を管理する公的組織がVRサービスにすでに対応していることです。

そして、もう1つが「実況型」と言って、生放送機能がある動画配信アプリを活用して現地の様子を実況するというもの。実況配信者と双方向にコミュニケーションを取ることもできます。

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(動画配信アプリによるバーチャルアフリカ旅行)

現地でのちょっとしたアクシデントや放送中の思わぬ事件が、ライブで伝わってくるので旅の臨場感を掻き立ててくれますし、コメントなどを通じてほかの視聴者との一体感も味わえるらしく、コロナショック後の中国において、観光地を管理する公的団体や組織などが、この配信アプリ事業者との連携を加速させているそうです。

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(紹興市の市長自らが実況動画に現れて現地を案内している)

⑤【旅行先を届ける】というアイデア】
VR旅行、実況旅行ともいえるのは、旅行先や観光地が積極的にコンテンツの魅力を発信しているということです。バーチャルで楽しんでもらうことで旅行先を理解し、実際に足を延ばしてもらうという戦略を立てています。
またコンテンツ内には、様々な形でコンテンツ利用者に消費を促しています。

【動画内での投げ銭機能】や、紹介された観光地のお土産屋や名産を【直接EC】と連結になっており、コンテンツそのものにも収益性が確保されています。

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(視聴者層の指向によった、細かいコンテンツがすでに用意されている)

何よりも宇宙旅行や、アフリカツアーなど、多くの方がいけない旅行先を、疑似体験できるという選択肢の多さが一つの魅力といえます。

終わりに

ピンチをどうチャンスに変えるか?それは私たち1人1人が考えなくてはならないことですし、結果がどうであれ、とにかく試行錯誤しながら進めていく。そんな力強さを中国の事例から知ることができます。
筆者連絡先
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