グラナダ

9月に銀座のギャラリーで催された『木村尚樹展』―凪・外伝 - nagi - anecdote―を観に行った時のことを、書いたものです。

竹木の燻し出した 鋭に座視する光はよそよそしく 
私の手前で一度立ち止まり 思慮深く近づく
日本の海と空に その敷居が溶けた後

緩やかな弧を描いて広大なままにおりてくる光
華やな固さを飾りに纏ったイタリアから 
異界を秘めた幻影への移り
迎えにきてくれたものは この夏のスペイン

白い影を撫でながら暗がりを通り 
東京タワーの裾 昔の私の片手を取る
260万冊の洞窟 アラビア語と踊って過ごした夏は 
グラナダの回廊に落ちる

軽やかなステップの上にメレンゲを乗せたNYの光は 
親しい笑みのまま駆け抜けた
ある時の一つの夏へと今日を収めながら





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