詩の書き方

1. まず、貴方が搭載しているあらゆるメーターのダイヤルをゼロに調整します。水圧も速度も温度も、なにもかも。

2. 海抜ゼロの地点に立ちます。

3. 360度の光景を脳に取り込み(身体を、ないしは梟のように首をクルクル回す、という意味ではありません)、写像を焼き付けます。

4. そのときに、視界の5メートルくらい先の地点から自分の後頭部までの距離のどこかに、サッと、白菜か白鳥か、なんらかのイメージが差し込んで来るので、そのイメージの幸福の前髪を薬指と小指でキャッチします。もっと強い指で掴んでも良いですが、時に繊細なので、潰れないように、解釈で歪まないように注意しましょう。
※ 1から4に至るまでに、気づけば200メートルくらい歩いていると思います。実際に物理的に歩いている際には、よりこの工程はやり易くなります。

5. (イギリス人の鼻紙のように)使い古されたジップロックがアウターのポケットに入っているでしょう?それを取り出して、さっき掴んだイメージを入れておきます。そして、色が擦れていかないようにジップロックを目の前にある冷蔵庫に入れて置きます。あるいは、もしすぐに書き出せるのであれば、同じくパントマイムの白板を迅速に立脚させて、そこに留めます。
※ノート(本物)にメモをすると、冷蔵庫の温度が保てます。

6. 書くタイミングが整ったら、ヨガっぽく息を吸って吐いて、視点と重心を中心に定めます。

7. 頭の中の写像と、冷蔵庫に入れておいたイメージとをボールに入れて、貴方が【わかっている】方向へ歩きながら、ねるねるね〜るねでボールの中身を捏ねていきます。
※もし、ジップロックの中身の色が薄れていた場合、最後まで辿り着ける可能性は小さくなります。その命は流れたものとして、今回は諦めましょう。

8. 足元を見やると、綱渡りの綱が走っています。音と、イメージと、[触れられない沼地]のバランスが最善になるように神経を張り巡らせながら、進みます。すると、ポン、ポン、と型作られた像が次第に宙に飛び出していくので、それが紙面に染み付いて行ったら、完成。

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