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解放された夏の 柑橘の房は ひとり帰って来る 冬の山小屋に 井戸水はすべて汲まれたあと 全裸で刻みだす 乾いた時間 おかえり、と青色の深い階段 ひんやりと、足裏に馴染む円盤 視界に現れた水面に滑り込み、落ちたあと ここまでの案内を誰が教えてくれたのか? 名付けることを許したのはあなたでした 名前がなければ地図には記されない 彼女達は門を構築している 日暮れに紳士を労い 夜明けに可愛い声を送り出している ひびのない柔和な記憶が水路を操る 君