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太陽

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太陽

昇る太陽 欠ける太陽 紛う太陽 曲がる太陽 映像のない人生であったならきっと 死の瞬間まで本物であっただろう 傷つけた者が傷つけた意味を血の色で知ったとき 奇跡的に宇宙は始まる 私の人生は始まり 彼等の姿は見えなくなる あなたから届いた涙が足元を奏でる 自分が流した涙はすべて過去生 耳をすませること それだけが今日へのギフト

半生

死んでしまう日までの暇つぶし 「私の人生はもうこれ以上苦しむことはないだろう」 という過ちを   皆が犯す 世界はたいして温かくなどなく 己れの体液ほど熱いものはない 生きていれば決して知らないところ 想像もつかなかったところへ連れていかれる 怯えなかった人が紡ぐ赦し 過去は消える 記憶は消える 想定外の地へ運ばれた特権で 誰かの物語を代筆する 群衆は愚かゆえ近寄るな 今日の景色は都度の逢瀬 目の前の声を抱きかかえる 目の前の瞳に抱きしめられる

神主な女友達

人生にはいいことしか起こらない なぜなら貴女がそう思うから 貴女が思うような世界しか、人生には訪れない 駅で迎えてくれた金髪にニット帽、オーバーにトートバック、 カーテン替わりの布、何やらくるくる壁を飾る物、 水回りの小物に、彼女の手とPCからニョキニョキ出てくるもの すべてが原色の粒子の宇宙 私にも彼女にも、これまで 頭上から画鋲が降ってきたし 地面が割れて水に溺れたし 鼓膜が破れたり 崖を登っている間に爪が剥がれたりもした だから私たちの懐は豊かな虹色 魔人ブウのようにフ

万華鏡

遠くまで来たのは 強くなるためだった 遠くまで行くのは 自分を取り戻すためだと思う たま ね ぎの皮、剥きのように 剥いても剥いても エメラルドな塊 私の奥の方にあるはずで 手に入らない 男の人のように脊椎動物でいて それでいてかつ 艶やかにエレガントな声が欲しかった 私だけの語りが響く円楼は いっこうに築かれない ゆっくりと走って行く雲が  すべてを呑み込む主役になる山間の地は 体のあらゆる穴から冷風を吹き込んで 凛とやさしい心臓を支配していた 庭のような自由が丘