はちみつの福箱 その3

先に投稿したスペイン産のリンゴのはちみつの記事と一緒にすればよかった。つづきです。今度はフランス産のラズベリーのはちみつ。

ラズベリーはヨーロッパや北米で主に栽培されているバラ科の果実で、その果実は香り高く美しい紅色をしています。甘みはそれほどなく酸味があるためそのまま食べるほかにジャムに加工されることが多いようです。寒さに強く夏に冷涼な気候の水はけがよく肥沃な土地で育つそうです。

果実の花のはちみつの場合、イメージとしてその果実の味わいと似たはちみつが採れるように思ってしまうのですが、必ずしもそうでもなく、果実は果実、はちみつははちみつでそれぞれの味わいがあるのが面白いところです。もちろん中には果実の味に似た味わいのはちみつになるものもありますが、果実とその花からなるはちみつとの相違点を探すのも楽しいです。

このはちみつの特長について。
色は白濁したオレンジといったところでしょうか。薄く上部に結晶していない部分がありますが、はちみつの結晶は、ブドウ糖の含有量の多いはちみつが結晶しやすく、結晶していない部分はおもに果糖が含まれている部分になります。果糖はブドウ糖と比べて甘さを強く感じる性質があるため、このように分離して結晶成分が沈殿している蜂蜜は食べる前にスプーンなどでよくかき混ぜて食べてください。分離していても結晶していてもはちみつの成分や品質には何の問題もありません。

そういえば、店頭ではちみつをお客様にお勧めしている際にときどき聞かれるのですが、結晶しないはちみつは加工がされているからまがいもので、本物のはちみつは結晶する(またはその逆も)のでしょう?と。両方正しく、両方まちがいです。はちみつは気温が15度を下回ると結晶が始まります。寒くなればすべてのはちみつが結晶するかというとそうではなく、はちみつの主な成分である、果糖とブドウ糖の含有率の違いが結晶しやすさに関係しています。ブドウ糖の含有率の高いはちみつは結晶がしやすく、果糖の含有率の高いはちみつは結晶しにくい特性があります。ですので、店頭で結晶しているはちみつがあったら、「ブドウ糖が多いのだな」と思っていただいたらいいと思います。結晶しないはちみつについてはまたいつか書きます。

話を戻します。
このはちみつの香りについては、少し形容しがたく、敢えて言うならば、たんぱく質の匂いがします。
舌触りは、結晶の粒が細かいため、すこしざらざらとした舌ざわりです。
味わいは柔らかな甘みで和三盆の干菓子のような優しい甘さを感じます。酸味や苦みは感じないのですが、後味に下の奥のほうでかすかに絡みが残ります。
料理との相性では、わたしはこの優しい甘みから、白いパンなどのあっさりしたものや、紅茶やハーブティとの相性がいいのではないかと思ったのですが、福箱に入っていたリーフレットに書かれた説明文には「クセの強い青カビチーズにもおすすめ」と書いてあり、なるほど、クセのつよい食材の個性をころさない優しい味わいであるなと思いました。

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