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りばいばる#052 地獄の海外引越・日本編

これは2017年1月18日にAmebloに投稿した記事の"りばいばる"です。

遡ること2016年8月。
オランダ移住を決意し、まず考えたのが引越のことです。

21歳で東京に出てから主に2年毎の賃貸更新料が発生するタイミングや自分の置かれる状況の変化に合わせて引越を繰り返して、数えてみると38歳で関西に戻って来るまでに8回の引越のお蔭で、ある程度の経験があると自負しておりましたが、さすがに海外引越は初めてです。

ネットで「海外引越」と検索すると大手物流のN社や宅配便のY社、大阪の老舗S社などがあがって来たのでまずは各社に見積をお願いしたところ、各社迅速に営業担当の方が家まで来てくれて運ぶものの量を確認してくれたり、海外引越とは何ぞや?ということを教えてくれたりということになりました。

いろんなネットの情報でもそうですがとにかく日本から持って行くものを減らしてなるべく現地で揃えた方が安くつくということだったので、断腸の思いで断捨離の作業も並行していきます。

幸い妻の実家や親戚、知人が近くにたくさんいたので、TV、冷蔵庫、洗濯機、食器棚、タンス、掃除機、クーラー等のメイン家具は大体引き取り先が決まりましたが、奮発して購入した大型プラズマTVや大型冷蔵庫を手放すのは当時はかなり後ろ髪を引かれる思いでした。

海外引越には大きく2つの輸送方法があり、一つは空輸、もう一つは海運、いわゆる航空便と船便があるのです。

飛行機は速い代わりにやはり値段が高くつき、船は時間がかかる代わりに安いという訳ですね。

引越後すぐ使うであろうものは航空便、しばらくなくても大丈夫なものは船便にと仕分けします。

ちなみにオランダの場合、荷物の審査等のタイミングもあると思いますが、航空便はだいたい1週間前後、船便はだいたい40日前後かかるようです。(2016年10月時点)

国を跨ぐということで荷物が税関を通る関係で国内の引越とは違い全ての荷物の英語でのリストが必要です。

ダンボール毎に番号を振って、この中には何と何と何が入っていますというパッキングリストと呼ばれるものを作成し一つ一つの重量を測り、記載しないといけないのです。

しかも国によって税関で関税がかかってしまったり持ち込みが禁止されている食料品や動植物、医療品、薬品などもあったりして梱包の際に気をつけなければなりません。

基本的にはパッキングリストの書類審査で済むらしいのですが、おそらくX線などを通る検査の際に何か禁止物等が引っかかってしまうと、その荷物の中身の確認の為そこで足止めを食らい、罰金か何かしら追加の料金が発生してしまったり、荷物が出国できなかったりとトラブルの元になるようです。

この辺りはやはり一番神経質になるところで各引越業者が推奨するのは、顧客は当日、これは送る・これは置いて行くという仕分けをやるだけという形の荷物の梱包とリスト作成を全て業者に一任するというシステムでした。

そして各社見積がぞくぞくとあがって来たのですが、だいたいどこも平均70万円前後!!

たっけー!!!この時点で心が折れそうになりました。

海外引越の場合、引越荷物が運び出されて初めて荷物全体の容積が分かり、そこで最終的な金額が決まるので、見積より安く済む場合もあれば高くなってしまう場合もありそうです。

もっと安く済ませたいのはやまやまですが荷物を多少減らしたところでさほど変わらないと思ったので、数年前に神戸からスイスに移住した妻のオーストラリア留学時代の友人夫婦が20万円で済んだという海外引越業者E社を教えてもらいました。

E社は梱包作業と荷物への番号振り分けと英語のパッキングリスト作成を全て自分達でやるというプランの為、おそらく大手のフルサービスよりリーズナブルになるはずです。

妻が輸出業界での勤務経験もあったので、リスト作成は妻が担当するということでもうここに決めよう!とE社にお願いすることにしました。

幸い美容ディーラー業のお蔭でダンボールには事欠かなかったので毎日良さげなダンボールを家に持って帰りつつ荷物を仕分けしていきます。

自分達と一緒にスーツケースで持って行く予定の衣類や日用品と、1週間程度で届いて欲しい航空便で送る荷物と、1ヶ月以上先に届けば良い荷物と、日本に置いて行くものとを仕分けしていくのですが、長女と次女はギリギリまで小学校や幼稚園に通い、妻は幼児の三女と四女の世話をし、僕も美容ディーラーの通常業務をギリギリまでこなしながら進める作業は想像以上に困難でした。

出発の日が2016年10月24日に決まっていたので、理想としては船便をその40日前ぐらいに出せれば自分達が到着したすぐ後に引越荷物が届くという美しいプランが成立したのでしょうが、そんなうまくいくはずがなく、思惑とは裏腹に船便の集荷は10月14日となり、とにかくその日までに梱包とそれぞれの重量測定とパッキングリストの作成を終えなければなりませんでした。

ホームセンターでエアークッション、いわゆるプチプチの束とガムテープをいくつも買って出荷する家具などをパッキングしていくのですが、昼間は普通に働いて帰ってから家族でご飯を食べ、子供達が寝静まってからの作業なので疲れてなかなかはかどりません。

土日は遠方の妻の友人が会いに来てくれたり、しばらく会えなくなる両家の両親と娘達との大切な時間に当てたりで、刻一刻とその日が迫って来る中、最後の1週間はほぼ寝ずに妻と2人で毎晩黙々と作業をしました。

船便出荷の前日の夜も延々と作業し気がつけば朝が来て、まだ作業が終わらないうちにとうとう引越業者が到着してしまいました。

僕はまだ残っている細々したものをプチプチで梱包する作業に追われ、妻は一つ一つの荷物の重量を体重計で測りながら荷物に直接マジックで番号を書き、何が入っているか書いて貼っておいたメモと荷物に書いた番号をスマホで撮影していく作業をしながら、業者がガンガン荷物を運び出す鬼ごっこで追い込まれ、最後は業者さんがプチプチの梱包作業も手伝ってくれながら、何とか船便を全てトラックに積んでもらうことが出来ました。

折りたたみテーブル×2台、分解したパソコンデスク×1台、妻の幼少期に買ってもらった電子ピアノ×1台、シルバーラック×1台、小さな棚×1台、分解したハンガーラック×1台、新しく購入した洗濯物干し台×1台、木目調のカーペット×1枚、衣類の詰まった圧縮袋×14袋、プラスティックケース×9個、自転車×1台、子供用自転車×2台、食器や小物など大小様々なダンボール×約70個。

文字で書くとあっと言う間ですが、睡眠不足と間に合わせないといけないプレッシャーで2人共心身ボロボロの状態で、トラックが走り去った後のことはあまり記憶にありません。

後は撮影した荷物の番号とメモを見ながらパソコンでパッキングリストを作成しメールで添付してE社に送信し船便はコンプリートでしたが、朦朧とした中番号が一つ抜けていてそれが実在するのか単純に飛ばしてしまったのか分からないままE社がうまく処理してくれて何とか無事終了。今回の海外引越の一番の功労者は間違いなく妻です。

僕等の場合、船便の荷物がトラックで神戸港に運ばれて、コンテナの混載作業の末、港を出発するのは10月末でそこから約1ヶ月かけてオランダのロッテルダム港に運ばれるのです。

まず頭に浮かんだのは船乗りさんは全然家に帰れないんだなぁということでした。

10月14日に家を出た荷物を10月24日の飛行機で追い抜いて、約1ヶ月後にオランダで迎え入れます。

ロッテルダム港からオランダの自宅までの運搬も現地業者が行ってくれるということで、輸送費、通関料、通関手数料など総額は約50万円!

それと積み忘れた荷物や追加で購入した荷物がダンボール3箱となり、郵便局から船便とSAL便で発送し、その費用が約3万円。そして出発前日に郵便局から船便で送ったダンボール8箱の費用が約15万円。合計約68万円ということで結局大手の引越業者に全部任せた方が良かったんじゃないか?という後悔の念にさいなまれる日々となってしまいました。

船便を出荷してホっとしたのも束の間、出発までは部屋からの完全撤去作業の日々で、またまた4、5日ほとんど寝ずに整理し、持って行かないけど置いておきたいもの、引き取り手がないもの、捨てるにはもったいないものなどを実家の空き部屋に放り込ませてもらい何とか初めての海外引越を終えることが出来ました。

あの地獄の日々が今までで一番辛く、思い出すだけでぞっとします。

今思えば理想は飛行機で一緒に運べる程度の量に抑えて、後は日本で処分するか実家に置いて来るのがベストだったなと。
まあそんな風に考えられるのは、あくまでオランダに住んでみたからであって、当時そんな発想と実行力はなかったのが現実ですがw

しかし68万円あれば、オランダで新しい物を大体揃えられそうですし、最初の生活費の大きな足しになったでしょう。

この失敗を基に、今ではオランダ移住の相談を頂いた際は、荷物は最低限にした方が良い!と強くアドバイスしておりますw

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