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場面緘黙症の次女を支えるオランダのサポート体制

以前から何度かブログで報告させてもらっていますが、村上家の次女(9歳半 2021年1月現在)は場面緘黙症です。

実は移民の子は緘黙症になる傾向が多少なりとも多いそうなので、数少ない実例ではありますが記しておきたいと思います。


場面緘黙症とはネットによると、不安症や恐怖症の一種だそうで、家などではごく普通に話せるのに特定の場所や場面では、1ヶ月以上声を出して話すことができないことが続く状態だそうで、次女は5歳半ぐらいでオランダへやって来て現地小学校に通い始めて1年以上経ってから我々親がネットで色々調べて「場面緘黙症ではないか?」と気付いた状態で、2021年1月現在も現地小学校内で場面緘黙症が続いています。



正に家族や親戚や日本人の友達などとは普通に話しているので発見し辛く、移住後もただただ環境に馴染んでいないだけで、時間が解決してくれると思っていましたが、そうではありませんでした。



やはりオランダへ移住したことでかなり大きな環境の変化があったことが要因ではあるのですが、他の姉妹は問題ないのと我々夫婦、特に僕は元来超楽天家というか、何も考えていないと言うか、行き当たりばったりで生きて来てしまったので、まあこのまま次女が大人になってもあまり周りと喋らなくていい生き方を模索していけばえーやんと、基本的に放置しておけばいいんじゃない?と思っていたのですが、オランダの子供達を取り巻く制度はそんなチャランポランな僕とは真逆の優れた制度に感嘆することとなりました。

次女は車で学校へ送る際、姉妹同士ではうるさいぐらいなのですが、学校が近付いて来ると段々口数が減り、学校近くの駐車場に着いて車を降りたぐらいから口が全く開かなくなり、何か話しかけても首を横に振るか頷くしかできなくて、その状態のまま学校へ登校して行き、迎えに行くと固く口を一文字に結んで教室から出て来て、車に乗り込み学校から遠ざかると口を開き出すという状態です。

次女が5歳半で現地小学校へ通い始めた時はそうでもなかったのですが、グループ3に上がってからクラスメイトの前でオランダ語で本を読んだ際に、教室内が「次女がオランダ語を喋ったー!」と湧いたらしく、そのことがきっかけで声を出すことで皆から注目されることに不安を覚えてしまい、場面緘黙症になったようで、その時から現在まで(2021年1月現在)その状態のままです。

学校は小規模なので、各学年1クラスしかなく、そのまま皆でスライドしていくので、当初次女はクラスメイトや長女のクラスメイトから「なぜ話さないんだ?」と質問されたり、弄られたりということがしゅっちゅうだったのですが、今となっては次女=話さないということが確立しているので、とりあえずこの小学校を卒業するまではこのままのキャラ?をキープするだろうと予想されます。

まずは移住して2年程経ってから、度々登場するLogopedie(ロゴペディ)というスピーチセラピスト(言語聴覚士)による治療を学校から要請してもらい、長女も含め毎週30分オランダ語の個別診療という形で指導を受け、約2年程で長女はLogopedieは卒業、次女は違う形の治療に進むことになりました。

このLogopedie、子供が小さい内はかなりの人数が受診しており、自治体にもよりますが、どうしてもウェイティングとなってしまう傾向にあることが多いようで、スタートするまでに時間がかかってしまいました。



現在はオランダ語の語彙がまだまだ少ない四女が通わせてもらっており、三女に関してはui、au、ouなどのオランダ語の細かい発音の微調整の為に通わせてもらっており、三女は間もなく卒業なのではないかと思います。

移民が多いオランダならでは。緘黙症に関するデータが他国よりも多く、その対応策や制度も豊富な様です。

次女の症状は毎年の三者面談の時に担任の先生に我々から「おそらく緘黙症という病気だと思う」と伝えたところから学校側が動き始めてくれ、娘達の学校の体育の先生として派遣されている女性の先生が以前勤めていたというデン・ハーグのKentalis(ケンタリス)という聴覚障害や言語発達障害の支援施設で聴覚や脳の障害の観点から調査してみようということになり、2回程通い、聴覚検査、知能テスト、問診を行なってもらいました。

結果は聴覚に問題はなし、知能テストも同年齢の平均値より高い点数だった為、やはりトラウマ的な要因だろうと結論付けられました。

いやだから場面緘黙症じゃなかろうか?って言ったやーん!と言いたいのですが、この可能性を一つずつ潰して正確に結論を導き出すやり方に、何事も適当だと思われがちのオランダの違った点を見た気がしました。

次に学校の担任の先生と緘黙症担当の先生と校長と我々夫婦でミーティングをし(僕は妻に通訳してもらう形で参加です。)次の手としては、市役所内の青少年サポートチームに相談してみようと言うことになり、去年2020年春、第1回目のロックダウンの際に妻が次女を連れて市役所へ出向き、青少年サポートチーム2名と次女の場面緘黙症に関してのヒアリングを行ってくれました。

その青少年サポートチームスタッフが学校、Logopedie、Kentalisそれぞれに電話で次女に関する情報を吸い上げてくれ、その数週間後に校長、担任の先生2人と緘黙症担当の先生、それに青少年サポートチームスタッフの女性2名と、そして新たに小学生専門のケアスタッフの男性と我々夫婦でGoogle meetを行い、現地校で仲良くしている日本人の親友が通う現地校へ転校するのはどうだろう?とか、支援学校に行ってみるのはどうだろう?など、次女に関して様々な視点からアイデアを出し合い、最終的に次女の意見も取り入れつつ、一番ストレスが少ないであろう現状のクラスのまま過ごすと言うことに落ち着きました。

その後、学校側は次女に対して緘黙症担当の先生のマンツーマン授業サポートを増やしてくれて、その先生は毎日出勤にしてくれました。

更には青少年サポートチームがGGZという精神科機関に依頼してくれ、そこで緘黙症の知識に長けている精神科医の女性が治療に移る前に心を開いてもらう為、毎週45分程次女と遊びながら自然と会話をしてくれつつ、学校へも出張してくれ、次女のクラスで先生に変わって皆の前で授業をしてくれたりしているようで、報告では「とにかく子供の信頼を得てから」という言葉が幾度となく繰り返されるので、いきなり見慣れぬ人が学校にやって来て「場面緘黙症と言うのは・・・」と話をするのではなく、毎週足を運んでくれ、クラスメイトと少しずつ信頼を築いてからと考えている様で、対象の子を治療するにはまず周りから改善していくという、点ではなく線で考えるオランダ流?に、放っておいたらいいんじゃない?という考え方を改めると共に、徹底的に子供に寄り添うやり方に感動を覚えました。

今ロックダウン中ですが、治療ということで、次女は毎週GGZで45分程のその精神科医師と過ごしています。

先日次女がおもむろに「中学に入ったら喋るわ。」と言って来たので、親を心配させまいと次女なりに配慮した発言なんだろうなと「そっか」と受け止めました。
順調にいけば、後2年半程で次女は小学校を卒業する予定なので、その時またご報告したいと思います。

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