万国共通。(点字の小噺 第7話)

(15、6年前に自分のHPにアップしていた点字にまつわる話です。拙い文章ですが、HPのサービスが終了した為、こちらに転載しています。寛容な心でお読みください。)

A:点字って、万国共通って聞いたけど、ほんとか?
B:へぇー、よく知ってるなぁ。
A:そりゃ、もう意気込みが違うからな。
B:意気込み?
A:いや、こっちの話。と、すると点字の仕組みさえ覚えてしまえば、ドイツ語でも、フランス語でもベトナム語でも大丈夫というわけだな?
B:まあ、そうだけど…。
A:よっしゃー。早速、手紙を書かねば、「はいけい、あなたを みかけた その ひから…」
B:なんか、勘違いしてないか?誰に手紙書いているんだよ?
A:ベトナムからの留学生に。
B:おまえ、ベトナム語できるのかよ。
A:いや、できないから点字で書いてるんだよ。なんたって、万・国・共・通。
B:………。それは、意味が違うだろ。
A:なんでだよ、日本語でもベトナム語でも点字は同じなんだろ?
B:仕組みはね。英語とドイツ語のアルファベットが同じなのと一緒だよ。
A:え、なに?じゃあ、つまり、俺はベトナム語を覚えないと…、
B:ベトナム語で点字は書けない。
A:なにー。じゃ、点字を覚えた俺の努力は?
B:水の泡。…それより、その留学生は日本語をしゃべれないのか?
A:しゃべれるけども、俺はベトナム語で伝えたかったのよ。この気持ち。
B:その子に教えてもらえばいいだろ?
A:そんな恥ずかしいことできるわけないだろ?「初めて会った、その時から一目惚れ。」なんて、おまえは聞けるのか?
B:いや、無理。その子結婚してるしね。
A:うそっ。
B:旦那が一緒に挨拶してただろ。聞いてなかったのか?
A:いや、男には興味ないから。
B:もういいよ。

 さて、点字が万国共通って、知ってました?
と、言ってももちろん言葉そのものが同じと言うわけではありません。

という、6つの点(縦3列、横2列)で1マス。と、いう仕組みが共通で、言葉そのものは当然その国ごとに使用している言語なので、もちろん違います。
 では、日本の点字と海外の点字は全く違うのでしょうか?
 そもそも、点字はパリの訓盲院の生徒で後に同校の教官になったルイ・ブライユ(Louis Braille)によって、1825年に考案された文字です。ですので、フランス語や英語等では点字の事をbrailleと言います。
 そして、点字は1845年にフランスで採用されたのを皮切りに、次第に各国で用いられるようになりました。
日本では、1890年東京盲唖学校の教員石川倉次によって翻案されました。
日本語の50音は日本独自であるものの、数字やアルファベットの点字は同じものです。万国共通というわけです。元々が外国から入ってきたものなので、この6点式の点字の他に、日本語の漢字の文章に対応させた8点式の点字というものもあります。日本語の50音は日本独自であるものの、数字やアルファベットの点字は同じものです。

 ところで、話が全くそれてしまいますが、上述の文章に出てくる東京盲唖学校の名前が示すように(盲は、視覚障害者。この6点式の点字の他に、日本語の漢字の文章に対応させた8点式の点字というものもあります。唖は聴覚障害者を指します。)日本では、昔、視覚障害者と聴覚障害者が一緒の学校で学んでいたそうです。
ですが、盲の学生は目が見えず、聾の学生は上手く喋れない為、盲の学生は相手が誰だかわかりません。
そこで、盲の学生は聾の学生の顔を触って、「これは、鼻が高いから武君」「眼鏡を掛けているから雄二君」というように相手が誰であるか区別をしたそうです。現在の手話の「誰?」という、手の甲で顔をなでるような仕草はここから生まれたと言われています。
そこで、盲の学生は聾の学生の顔を触って、「これは、鼻が高いから武君」「眼鏡を掛けているから雄二君」というように相手が誰であるか区別をしたそうです。現在の手話の「誰?」という、手の甲で顔をなでるような仕草はここから生まれたと言われています。

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