駅で見かけるこんな光景(点字の小噺 第1話)

(15、6年前に自分のHPにアップしていた点字にまつわる話です。拙い文章ですが、HPのサービスが終了した為、こちらに転載しています。寛容な心でお読みください。)

A:この前、駅で目の見えない人を見たんだけど。
B:へぇ~。だけど、それがどうかしたの?
A:それがね、ずーっと、ホームで(白)杖でコツコツ…地面を叩いてたから、
B:うん。
A:こりゃ、彼女にすっぽかされてイライラしてるんだと思って。同情してたのよ。
B:わかるわかる、同情したくもなるよね。
A:なんでよ。
B:だって、あんた昨日彼氏と駅で待ち合わせって…。ずーっと見てたって事は、すっぽかされたんでしょ。
A:ほっといてよ。
B:それで?
A:で、同じホームの向こうのほうに同じように(白)杖もって、立ってる女の人がいたのよ 。
B:あちらさんは、ちゃんと待ち人来てたのね。
A:うるさいわね。でも、そう思うでしょ?
B:まあね。
A:わたしもそう思って、しかも、女の人があきらめて帰ろうとしてるみたいだったから、「あっちで待っている人が帰ろうとしてますよ。」
って、男の人に言って、とにかく急いでその男の人を女の人のところに連れて行ったの。
B:おー。恋のキューピット。
A:そうじゃなかったのよ。
B:お姉さんだったとか?
A:違うの。その二人って、まったく知り合いでもなんでもなかったのよ。
B:えー。
A:たまたま、それぞれが同じホームで待ち合わせしていただけだったの。すごい恥ずかしかった。
B:そうだね。おまけに彼氏も来ないし。踏んだり蹴ったりだ。
A:しつこいっ!
B:ごめんごめん。

 さて、駅で白杖をコツコツしている人を見た事あるでしょうか?あれは、別にイライラして地面に八つ当たりしているわけではないのです。
目が見えないとお互いがすぐ近くにいても、その事を知らなければ気づかないので、杖で音を出して自分の居場所を知らせているそうです。
なんで、声を出して知らせないのかと言うと、誰もいない方に向かってしゃべっている人を見ると怖いですよね。
なので、白杖のコツコツ叩く音で自分の居場所を知らせるわけです。ただ、最近は携帯電話があるので、電話でしゃべりながら相手の声を探すということの方が多いかもしれないですね。
 もうひとつ。困ってそうな目の見えない人がいて、大丈夫かなって心配に思ったら、まず一声かけましょう。何も声もかけずいきなり引っ張られたら怖いです。
ほんとに困っていても、相手には自分が見えてません。いきなり、知らない人に引っ張られたら誘拐されるのかと思ってしまいます。
そして、手助けが必要か、本人に聞いて見ましょう。大丈夫と言われたら大丈夫です。
お願いしますと言われたら、勝手に判断せずに必ずどうしたらよいのか確認しましょう。親切心から混んでる電車よりも空いている各駅電車の方が良いと思って乗せてしまっても、
実はその人は約束に遅れそうだから混んでいても快速電車に乗りたかったのかもしれないです。“自分のことはやはり自分にしかわからない。”ということで。

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