点字を読もう。(点字の小噺 第5話)

(15、6年前に自分のHPにアップしていた点字にまつわる話です。拙い文章ですが、HPのサービスが終了した為、こちらに転載しています。寛容な心でお読みください。)

A:お前、前に点字を触って読めるって言ってたよな?
B:ああ、読めるよ。
A:それじゃあ、これ読んでみてくれよ。
B:“ビール”。
A:まだ、見せてないだろ。
B:だって、それ○×□ビールの缶だろ?
A:じゃあ、これならどうだ?
B:ん?“した”“うえ”“1”“2”“3”…。
A:なんか、合ってそうだな。それじゃあ…。
B:ちょっと待てよ。それエレベーターの点字板じゃねえのか?
A:そ、そっそんな、わ、わっわけねえだろ。
B:それって、ドロ…。
A:ほれ、つぎ、つぎ。これは、わかるまい。読んでみろよ。
B:どれどれ、“ちかよらないで ください”。なんだこれ?
A:なにー!
B:なんなんだよ。
A:な、な、なんでもねえよ。
B:めちゃ、めちゃ動揺してんじゃねえか。
A:ななな、何の事かな?
B:何か隠してるのは、ばればれなんだから、さっさと白状しろよ。
A:………いや、図書館で声を掛けた相手の子が恥ずかしがって、何も言わないから…、
B:それで?
A:ちょうど、その子が点字で手紙を書いてたのを見て、「じゃあ、俺、点字読めるから、返事をそれで書いてよ。」って、言ったらそれをもらって。
B:お前点字読めないだろうが。
A:それにしても、なぜ!?いったい俺のどこが?こんなにまっとうに生きてきたのに。あぁ、神様…。
B:おまえ、点字板盗んだだろ?エレベータのやつ。
A:正直に生きてきたこの俺を裏切るのですか?
B:点字できるって、嘘ついたじゃねえか。
A:なんと!全てお見通しだったのですね。でも、この愛は、真実のはず。
B:ナンパだろ?
A:ナンパなどではありません。私は彼女の事はなんでも知っています。いつ起きて、いつ寝るか。電話で何を話すか。いつ、どこで、何をしているか全て知っているのです。
B:……もしもし、警察ですか?えぇ、ストーカーです。それに器物破損に窃盗。早くぶち込んだ方が女性の、いえ、人類の為。今、連れて行くので…。
A:あぁ、彼女は今どこに?
B:おいっ、今その女の子が警察に捕まったらしいぞ。早く行ってやれ。
A:なに!待ってろ!今、行くからなー。
B:行ったか…。早く真人間になって戻ってこいよ~!

 点字の“あいうえお”は、またの機会にと言うことで、今回の話は、実際に点字を手で触って読む為の話です。
駅やエレベータ、ビールの缶など、点字を見かける事はたくさんあると思います。実際に目をつぶって触って読もうとした人はいるでしょうか?
点字は、縦3列、横2列の6つの点の組み合わせで一文字になるのですが、これを触って識別する事はなかなか難しいです。そこでもう一工夫。
まず、次の点字を見てください。



 “●”には点があり、“-”には実際には点がありません。これは、“た”という字を表しています。それはさて置き、この文字を触ってどこに点があって、どこにないかを判断するのは大変です。
 そこで、一度にやろうとせずに左右別々に確認していきます。まず、左側の縦3つを触って、どこに点があるか確認します。次に、右3つを触って点を確認します。
できたら、左右を組み合わせて、一文字の認識ができるわけです。左右を別々に読む、たったそれだけの事ですが、それだけでも、読み易さは全然違います。さあ、ビールの缶で試してください。
目をつぶって触って、思い通りの点の配置なら正解です。ちなみに、“ビール”は次のように書きます。

 実際に確認してみてください。
 手で触って読めるようになれば、結構みんなに自慢できますよ。点字を触って読んでみた感想など、また教えてください。

読んだ感想などコメントを書いて頂けたら、はげみになります。 ハチミツは、お仕事依頼の記事にネットオーダーのページへのリンクがあります。購入希望の方はそちらからお願い致します。