えっ?なになに?(点字の小噺 第3話)

(15、6年前に自分のHPにアップしていた点字にまつわる話です。拙い文章ですが、HPのサービスが終了した為、こちらに転載しています。寛容な心でお読みください。)

A:うわ。あんなんはじめて見たわ。
B:どないしたん?
A:見てなかったんかいな。それは、教えられへんな。
B:なんや、教えてくれったってええやんか。
A:しゃーないなぁ。あそこにおる人、バナナの皮ですべって転んで、そのバナナが頭にのって。ぼーぜんとしてたんよ。
B:マジで?信じらへん。見たかったわぁ。
A:うわっ。あの人もむごいわ。
B:なになに?今度はどないしたん?
A:また、見てなかったんかいな。
B:ちょっとよそ見してただけや。
A:あそこで倒れてる人おるやろ?
B:あー、おるけど。それがどないしたん?
A:前からおばあちゃんが歩いて来るから道を譲ったんよ。
B:ええ奴やんか。
A:そしたら、上から植木鉢が落ちてきて頭にヒット!
B:マジで!?信じられへん。
A:向こうで放心している人なんかもっとすごいで。
B:えっ?どないしたん?
A:結婚資金を貯めて、いよいよプロポーズしたら、金だけ取られてポイされたんや。
B:結婚詐欺やないか!
A:1000万や。ひどい話やろ?
B:そやけど、詐欺にあったなんて、なんでそんな話を知ってるんや?
A:あたしがやったんや。
B:ほんまに!?
A:ふっふっふ、えらいもうけさせてもらった。…って、うそに決まっとるやろ。

 さて、自分が見ていなかった事で周りが盛り上がっていると、すっごい気になりますよね。そして、その輪に入っていない自分が寂しくもなります。
逆に自分がふと席をはずしている間に場の雰囲気が悪くなっていれば、何があったのか知りたくなります。
そこで、もし見えなかったら?
言葉のやり取りには、みんなと同じようについていけますが、見なくてはわからない事には一緒に共感できません。
例えば、誰かが面白いことやったり、珍しい動物がいたり、…。周りが盛り上がっているのに自分だけが取り残されてしまう事になります。
そういう時は、周りの見える人が正しく説明します。盛り上がっている時以外に伝えた方が良いのは、自分が席を離れる時や、他の誰かが帰りそうな時。話しかけたらその人がいなかったなんて寂しいです。あとは、容姿や都合の悪いことも正確に正しく伝えることが望ましいです。
例えば、「モデルみたいに美人。」なんて聞いていた人に対して、「モデルのように綺麗なんですって?」と言ったとします。言った本人は全く悪気がなくても、ものすごい皮肉に取られる事もありますので。
 もし、その人が目が見えたとしたら、見たであろう事は伝えると言うことです。

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