君の視力は?(点字小噺第11話)

(15、6年前に自分のHPにアップしていた点字にまつわる話です。拙い文章ですが、HPのサービスが終了した為、こちらに転載しています。寛容な心でお読みください。)

A:はい。それじゃぁ、これから視力検査を行います。待ってる人がたくさんいるからテキパキやってくださいね。
B:ほーい。
A:それじゃ、まず君からね。眼鏡外して、これで右目を隠してください。左目から検査します。
B:準備できましたー。
A:はい。じゃーこれは……。って、線から前に出ないでください。私と見つめ合うぐらいにまで近くに来てどうするのよ。
B:先生の瞳に僕が映っているかどうか気になってしまって…。
A:はいっ、次の人!検査しますから、線の所に立ってくださいね。
B:無視しないでくださいよぉ。
A:検査する気があるなら、さっさと3mのラインの所に立って。
B:はーい。準備できました。僕の顔見えてますか~。
A:見たくないわよ。じゃ、これは?
B:冷たいなぁ。ひだり。
 :「これは?」「右。」「次は、これ。」「左斜め下。」………。
A:…見かけによらず、視力いいわね。全問正解。
B:いやぁ、それほどでも。
A:………。って、なんで後ろ向いて立ってるのよ。
B:先生と心が通じ合ってる俺なら、見るまでもありませんよ。はっはっは。
A:そう…。心が通じ合ってるなら、今先生が何を考えているか、わかるわよね。
B:「このクソガキ。さっさと終わらせたいのに邪魔しやがって。」
 :顔に似合わず怖いですね。
A:ほんとにわかるのねぇ。すごいわ。
B:ええ、まあ。「このクソガキ。殴るぞ!」
 :怖い、怖い。暴力反対です。
A:うるさい。(ボコッ)

 今回は、図のようなアルファベットのCのような記号(ランドルト環)でおなじみの視力検査の話です。

 毎年の健康診断でこのランドルト環で視力を測定した人がほとんどかと思います。
ですが、この“視力”。どうやって決めているのか知っていますか?
当然、同じ大きさの記号でも、検査する位置が近くなったり、遠くなったり、変わってしまったら意味がありません。
 視力は次の式で決定されます。

   視力 = 0.3 × 距離(m)÷ 切れ目の幅(mm)
切れ目の幅は、ランドルト環の直径の5分の1になるように設定します。
例えば、5mの位置から1mmのラんドル環の切れ目の方向がわかるなら、視力は1.5。
実際の検査では、切れ目の方向を4分の3の割合で正しく示せれば、それがその人の視力となります。
 同じ視力であっても、同じ見え方をするわけではありませんが、目安として使うことができます。
 視力による視覚障害の分類として、矯正視力が0~0.02の状態を“盲”。0.02~0.04を“準盲”。0.04~0.3を
“弱視”と言います。
 これは教育現場での分け方で、視力が0.3はないと教室の最前列でも黒板の字が見えない為、
なんらかの配慮が必要であると考えられるからです。
 視力が0.02未満の人は視覚を利用する事ができないので、触角を利用する点字による盲教育を行うことになります。
視力が0.04~0.3未満の人は文字の拡大や照明の配慮などに工夫を払えば、視覚を利用して弱視教育をする事が可能になります。
0.02~0.04未満の人はその程度によって、盲教育や弱視教育を受けることになります。
ここで言う弱視は、低視力の事を指していますので、眼科で病名として用いられる弱視の定義とは異なります。

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