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家事代行サービスをよりよく使うために知っておいてもらえると嬉しいこと

先日、人気の家事代行業者さんが各社そろってテレビに出てらっしゃったことがありました。現場のリアルな声として「家事代行の仕事とはどんなものか」をみたいなのを教える番組だったのですが、かなりテレビ向けの穏便なご意見だったようなので(笑)、リアルすぎる現場の視点から少し加筆させてもらえると嬉しいな~と思いました。

■田舎と都会のニーズの違い

都会ではそんなに「料理の作り置き」サービスが人気なんだなあと驚きました。いや、テレビ番組の影響もあるだろうし、きっと田舎でも人気なんだと思うんですけど少なくとも私は依頼を受けたことがなかったので…(私が料理上手そうには見えないだけかも?(笑)

あと、テレビでは絵に描いたように「家政婦さん!」って感じでしたね。すごくビジネスライクで、私の仕事はもしかして家事代行ではなかったのか? と思ってしまいました(笑)
私の場合、掃除は当然ながら、なんかもう、人生相談とか普通に(自分の親くらいの年齢の人相手に)してるし、スマホの使い方講座で予約時間の9割が終わったこととかもあります(苦笑)
家事代行は時間契約なので、ご契約いただいた時間内ならば私をどういう風に使ってもらっても構わないのですが(資格が必要な作業などはお受けできないものもありますが)、たまに「こんなのでお金頂いてもいいのかしら…?」と自分でも首をかしげることがあります(苦笑)

■保険に入っていればなんでも補償してもらえるわけじゃない

私が見ていたテレビでは、「最低でも1000万円の補償に入っているから(もし作業中にモノを壊しても補償されますし)安心してください」と自信満々に仰っていましたが、これが揉めるんですよねえ…。

私のように個人でやっているところでさえもきちんと5000万円クラスの保険に加入しているんですが、じゃぁ例えば「30年前に1000万で購入したツボを不可抗力で壊してしまった」という場合に、1000万円が満額補償されるかっていうとそういうわけじゃないんですよね。
これは別に家事代行業側の問題ではなく、損害保険の性質で、30年前のものであればもちろん価値減価があるわけで、しかもツボなどのように万人がその価値を認めるものではない場合もあり、1000万円のツボに対して1万円の見舞金程度しか出ないケースもあるわけで。

テレビでは家事代行スタッフさんが「私もお客様の家で醤油さしを割ってしまったことがあるんですよ」なんてかわいらしいことを仰っていましたが、私が所属していた大手清掃会社では、社用車でお客様宅の車庫の電動シャッターに突っ込んだケースがありました。
しかもこれ、シャッターが以前からすでに壊れていて、車が下を通るとシャッターがずり落ちてくるというお客様側の不具合だったにもかかわらず、こちらに罪を擦り付けられ、相当揉めた案件でした。
あと、新築のお宅のキッチンのシンクに作業道具を落としてしまい、小傷をつけてしまったケース。お客様が激怒して、キッチン総取り換えを命じてきたのですが、当然ながら保険としては「傷をつけたところしか補償しない」わけです。

テレビの内容を鵜呑みにされますと「しめしめ、元から壊れているものを家事代行業者のせいにして、全部取り換えてもらおう…」なんて人も出てくるかもしれませんが、損害賠償の場合はきちんと保険会社による現地調査が入りますので、なんでも補償されるわけじゃないので…そこのところはお願いいたします…

あと、私のお客様には絵画を数多く所有されている方が多く、保険会社さんから相当嫌がられましたw
「美術品、特に絵画は、購入金額と査定価格に開きがありすぎるので、もし損害賠償となるとめちゃくちゃ揉めるので! くれぐれも壊さないようにしてくださいね!」と保険会社のスタッフさんに念押しされましたよ(;´д`)

■家事代行とハウスクリーニングの違い

「エアコンの分解洗浄をやってくれるのか?」という質問に対して、各社とも「できない」との返答。
家事代行というのは「お客様の家にあるものを借りて、お客様自身が行う予定だった家事を代行する」という意味。エアコンの分解洗浄は、専用の機械が必要になるのでお受けできないんですよね。
ハウスクリーニングは機材をすべて持ち込みます。完全にきれいになるまで続けるので、結構な人数でお伺いすることも。
一方で家事代行は身軽に手ぶらで一人(ないし二人)でやってきて、「予約された時間内にできること」しかしません。あれもこれもと頼んでみても、「予約された2時間が過ぎましたので帰ります」となります。

それではどの程度の分解洗浄ができるのか? というと、「取扱説明書に分解清掃の方法が明記されてあるもの」と考えてもらえば大丈夫だと思います。
取説に書かれてあるということは、一般の人でも分解が可能ということの指針になります。逆に言うと、そこに明記されていないものは「専門業者しか触ることができない」ということ。
最近インスタなどでは「個人の責任で分解してください」などといって家電の分解清掃をしている人が多いのですが、そんな画像をUPしてしまった以上は壊れても文句は言えないということです。メーカーの保障外となりますので、絶対にお勧めしません。

■英語対応のニーズ??

テレビでは「英語を母国語とするスタッフをわざわざ指名し、子供の英語教育に活かそうとする人も多い」と言っていて、都会すげぇな( ゚д゚)と思いました。いや、作業中にどれだけ会話させるつもりなんだ? っていう意味で。作業してる最中に話しかけられると手が止まるので、作業自体が進まなくなるけどよろしいのでしょうか…。
それなら英会話の専用の学生か何かをオンラインで雇った方がよろしいのでは…と思ったんですけど、どうだろう。

ただ英語はできた方がいいかもしれませんね。いままでこんな田舎でも「英語しか話せない」お客様に当たったことがあります。事前に作業個所は伺ってたのと、通訳的な人がいたので問題はありませんでしたけど、自分で話せた方が格好いいな! と思いました。というわけでDuolingoで勉強中です。

■厳禁事項、なかなか面白かった

「頼めば肩たたきくらいしてくれるんでしょう? 資格もいらないし、子供にお願いする程度の家事だと思うけど」というご意見に対して、各社とも「NG」の回答。その理由は「お客様へのボディタッチは厳禁」とのことでした。
これは、私のお客様が全員女性だから承ったことのないオーダーで、初耳でした! 確かにボディタッチに当たります! 男性客相手だと何らかの誤解も生じることがあるでしょうし、ご高齢のお客様だと馬鹿力で怪我を負わせる可能性もある。これはダメだ!

同じように、「逃げ恥」のように「お客様とデキちゃったりするケースはあるんですか?」との問いにも「ありません(キッパリ)」でした。もしあったとしても言うわけないだろ…と思いましたが私もそういうケースはさすがに見たことありませんね。というかご依頼主がほとんど女性なので。

ただ、逆に「お客様の死に立ち会ってしまう」ケースは多少ありました。
そもそも客層が「ご高齢のお宅」が多いため、まれに…まれに…そういうシーンに居合わせてしまうことがあります。誰かのお宅に上がり込んで仕事をするというのは、そういうことなんだなぁ、と改めて仕事の重みを感じたりすることも。

■終わりに

どんな業界でも内情と実質に乖離のあるものは多いものですが。
家事代行も便利にご利用いただきつつ、無理なものは無理! というポイントがあるので、できれば頭の片隅にでも置いておいていただけると助かります…!



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