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山中研究室最終展示「未来の原画」展に行きました

デザイナー、デザインエンジニアとして有名な
山中俊治先生が、東京大学の教授を退職するにあたって、最終展示をひらかれると聞き、行ってきました。


大学教授の退官と言えば「最終講義」が定番だけど、講義ではなく「展示」を選ばれたところに
山中先生のデザイナー、デザインエンジニアとしての矜持を感じます。

東京・駒場にある東大生研の正門を抜けて、展示会場へ向かう途中に、黄葉こうようをまばゆく輝かせている木々が並んでいました。

いつか
山中先生のTwitterで見た写真はここだったのかなと思いながら通り過ぎます。



展示会場のS棟につくと、入り口に古い日本車がとまっていました。
まるで昭和の時代に誰かが置き忘れたかのように。
説明書きはなく、ナンバープレートに車種だけが書かれています。
INFINITI Q45 1989
山中先生デザインの高級車。

東大生研S棟前のINFINITI Q45


先日のnoteのイベントで、下を向いて楕円を描いていた
山中先生を思い出します。
寡黙な先生の言葉には、大切なことがぎゅっと詰まっていて、デザイナーではない私にとっても仕事の指針となるものがありました。

山中先生の動く展示が好きです。

硬いプラスチックがまるで生きもののように動きます。目も鼻も口もないプラスチックのかたまりに表情が見えてきます。近づくと微かに聞こえる動作音が、息づかいのように思えてきます。

動いていると生きもののように思えてきます

山中先生の義足も好きです。

削ぎ落とされたフォルム。金属やプラスチックが体の一部になり、体を跳躍させる様子が浮かびます。

歴代の義足

なぜか、国立科学博物館のシアター360で見た宇宙の歴史を描いた360°の映像を思い出しました。「超新星の爆発で宇宙にとびちった元素があつまって星ができ、わたしたち人間もその元素でできている」というストーリー。

映像の終盤に、ナレーションの竹中直人さんが、
「私たちもまた、星から生まれたのです。」
というのが印象的。
この言葉、普段、誰かに言われたら、めちゃくちゃひきますが、国立科学博物館で言われると、妙に納得してしまいました。

炭素などの元素からできている展示物が、生きもののように動く山中先生の展示を見ていると、生きものってなんだっけ?という不思議な気持ちになります。



展示は12月4日まで。土日は予約制。

山中研究室が形作られてきたその時どきの未来があります。
山中先生が未来を描いた原画にぞくぞくします。




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