二世帯住宅

介護職に就いて、ようやく腰を据えて働ける環境に落ち着き、役職まで頂いた。

そんな頃に、妻と義理の母からある提案をされた。「うちの実家を建て替えてその土地に二世帯住宅建てて同居してくれへん?」と。

元々は妻の希望で、妻の地元に引っ越してきており、いつかはそうなるかもしれないなとは思っていたし、義母とも特に仲も悪く無かったのし、何より土地代無しにマイホームを持てるというメリットを感じた僕は、いくつか条件を出した上で了承した。

その条件は『自分が引きこもれる部屋を必ず作る事。』『ローンの月の支払いは65,000円までに抑える事。』『土地は妻の名義にしてもらう事。』以上の条件を了承してくれるならという事で、二世帯住宅を建てる事となった。


だが、実際に家の見学や見積もり等が始まると、そこから雲行きが一気に悪くなった。
義母はプライドが高く、僕と意見が真っ向から衝突しだしたのだ。そして妻は義母の味方となっていた。

まずはいくつかの大手ハウスメーカーを回り、こちらの要望を伝えて見積もりを出してもらった。僕としてはまさかここまで注文住宅が高いとは思わなかった。
要望をかなり削られた形で、予算を優先して出された見積もりでさえ完全に予算オーバー。
「これは大手では話にならへんな。」と僕は早々に諦めて、その意向も伝えたのだが、なぜか僕の休みや夜勤明けの日に、勝手にハウスメーカーとの打ち合わせの申し込みをどんどん申し込まれ、当然どこも予算オーバーで却下となるのだが、その都度ハウスメーカーに断りの電話を入れるのは僕。段々腹が立ってきて、ある日いくつめかのハウスメーカーでの打ち合わせで、僕はキレた。

余談だが、僕は元ラグビー部。大学の頃には弱小ながらそれなりに本気でラグビーをやっており、その頃にちょっとイキっていた時期もある。当時京都の河原町で絡んできたヤンキーや酔っ払いをシバくぐらいの事はやっていた。

僕の意に沿わないハウスメーカーとの打ち合わせ中、既にキレていたので僕は露骨に態度に出していた。当然予算は既にオーバーしていて、断る事前提なのに、何時間もそんな不毛な時間に付き合わされているものだから、打ち合わせ中に舌打ちをしたり、図面も見ずに頬杖をついて脚を組んで「ご主人はどう思われますか?」と意見を聞かれても「えっ?何が?聞いてへんかったわ。」という感じだ。
そうして最悪の雰囲気の中で打ち合わせは終わり、帰りの車の中で義母に叱責された僕は、ここぞとばかりに不満をぶちまけた。
「勝手に話進めんのもえぇ加減にせぇや!大体予算的に無理なん分かってるやろ?いい加減鬱陶しいんじゃ!こっちは仕事もあって忙しいのに無駄な時間に付き合わされるん迷惑なんじゃ!ボケ!」と。義母とのガチ喧嘩。
妻が泣き出して「お願いやからやめて。」と言ったので、消化不良で喧嘩は終わった。
思えばこの時に、同居の話を断っておけば良かったと今でも後悔している。

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